千年女優

ランボー 最後の戦場の千年女優のレビュー・感想・評価

ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)
4.5
ベトナム戦争に始まる戦いの数々で心に疲労感を抱えながらタイ北部にひっそりと暮らす元軍人ランボー。軍事政権により少数民族への弾圧の続く隣国ミャンマーへ牧師会のNGO団体を送り届けた彼が、後に残虐な軍隊グループに捕らわれた団体名を救いに向かって繰り広げる戦いを描くシルヴェスター・スタローン主演のアクション映画です。

時代時代の仮想敵と戦い続けたスタローンの看板シリーズの前作から20年を経ての続編で、同年公開のクリント・イーストウッド作品『グラン・トリノ』らと同様の、戦争によって業を背負った男のけじめを描いた物語で、これまでのシリーズで良きにせよ悪きにせよ「アメリカ」を体現し続けて来たランボーだからこその深みを感じさせます。

力で正義を成すというランボー=アメリカ的方法論では正義がうつろう無常の世では無益だと落胆します。しかし現実に正義なき力は蔓延っており、その前では力でない正義は文字通りの無力です。力しか知らないランボーがアメリカを脱ぎ、その僅かな存在意義を賭けて力でない正義の救済に挑むその様に力強いカタルシスを感じる一作です。
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