ウィリアム・フォークナーの原作をダグラス・サークが映画化。
第一次大戦で英雄となり、戦後は飛行機に取り憑かれて危険なエアレースでわずかなお金を稼ぐ男ロジャー、彼を愛してしまった妻のラヴァーン。そしてラヴァーンを愛する整備士と新聞記者。それぞれの思いが交錯するメロドラマ。これもひとつの戦争が招いた悲劇ともいえる。
愛の裏返しで冷ややかな態度をとるロジャーも、夫に酷く扱われながら最後まで彼を愛したラヴァーンも、どちらの気持ちも切ない。クライマックスの後に、4人それぞれの思いが最小限のセリフでしっかりと伝える丁寧な作り。
モノクロなのでいつもの色彩の美しさや優雅さは減りつつも、やっぱり映像が素晴らしい。夜のシーンの陰影には毎度惚れ惚れするし、間に挟むカットもよい。エアレースの迫力には息をのんだ。
強い意志を感じさせるドロシー・マローンの美しさ、ロバート・ストークのニヒルさも効いてる。あぁ良質なドラマを観たなぁという充実感。