TaiRa

翼に賭ける命のTaiRaのレビュー・感想・評価

翼に賭ける命(1957年製作の映画)
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カラーを経てのモノクロがまた素晴らしいよダグラス・サーク。「殺し」のないノワール。

エアレースって複数機でやる場合もあるのか。危な過ぎ。あのレース映像はモノホンだからこその迫力があっておっかない。曲芸飛行競技会に参加するパイロットとその妻子、相棒の技師ら一行を地元の新聞記者が密着する。命知らずのパイロットの生き様や妻の美しさに魅了され、沼にハマっていく記者。ドロシー・マローンの濃い顔立ちが白黒の世界に合う。夜の室内場面での照明や撮影がまた美しい。完全にノワールの映像。歪な関係の家族の話であり、女を救えない男たちの話。パイロットのろくでなしっぷりに対する周りの冷たい眼差しと、彼が飛行機に乗って素晴らしいレースを繰り広げた時の尊敬の眼差しが対比される。空を仰ぎ見る人々の顔が良い。祭りや競技会、どんちゃん騒ぎのパーティーと同居する悲劇、悲哀の見せ方が上手い。墜落描写は残酷。降りられない遊具の中から父の死を見届ける息子の絶望感。通夜代わりのパーティーが終わり、技師の周りから光が消えて行くとこも凄い。飛行機が飛び立つ前、見送る人物が強風を浴びてる様ってなんか良い。
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