◎何が何だか分からない弁護士が捜査権を行使？

1961年 新東宝 モノクロ 85分 シネマスコープ
＊状態に問題なし

古い小津映画にもよく出てた坂本武が「板チョウ」と呼ばれる刑事役なんだ、とキャストクレジットで興味を持って観はじめた。
だが、主役の天知茂＝南郷次郎が事務所にかかって来た東野文江（吉田昌代）からの電話を受けてホテルに直行すると文江が殺されている。
南郷はホテルのフロントで文江の私物に小田急の切符があったので、箱根湯本行きのロマンスカーに乗る。

いったい何の権限かで、と思いきや、弁護士だそうで。

で、ロマンスカーの隣の席に何だか目張りの化粧が濃い怪しげな若い男（鳴門洋二）が座ってカバンを取り替えようとしていたが、あのカバンは結局なんだったんだ？

男は後から文江の弟だと分かり、やはり眉を潰した沖竜次の白タクに乗せられて箱根山中で殺されてしまう。

南郷は、ロマンスカーの車中にいたサングラスの女（宮田文子）に、箱根湯本駅で降りると芦ノ湖でボートに乗れと思いましたが言われて、その通りに実行して、突進して来た船のために湖水に落とされて溺れそうになる。

いったい何で知らない女の身元も確認せずに言われたままに行動するのか、サッパリ訳が分からない。

さらには溺れそうなところを助けてくれた女、三原葉子（宝城寺竜子）と何故かいい感じになって、熱いキスまで交わす仲になる‥‥

‥‥と観ていても、ストーリーが全然、整合的に進まなくて訳が分からないし、弁護士のクセにどんどん勝手に捜査対象に迫っていくかと思えば、知らない女の言いなりになったり、初対面の女と入魂になったりと、南郷次郎の行動原理も支離滅裂で理解不能。

タイトルの付け方からして、原作ものでシリーズ化前提の第一作だったようだが、新東宝が倒産してしまい、その構想自体が御破算に。
こんな訳の分からない超駄作を作っているようなら会社が潰れるのも道理だなと納得されるばかりである。

《参考》
＊1 南郷次郎探偵帳　影なき殺人者
1961年4月19日公開、85分
moviewalker.jp/mv20063/

＊2 源氏川苦心の銀幕愉悦境
南郷次郎探偵帳 影なき殺人者
2021/12/17 17:39
genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-742.html

＊3 お宝映画・番組私的見聞録
南郷次郎探偵帳　影なき殺人者／黒の挑戦者
2009-12-20 02:06:20
ameblo.jp/tetsu8/entry-10415163443.html

＊4 幻想館　南郷次郎探偵帳 影なき殺人者
www.ne.jp/asahi/gensou/kan/eigahyou64/kagenakisatsujinsya.html

＊5 好漢・天知茂シアター　2008.7.26--27
南郷次郎探偵帳 影なき殺人者
www.amachi.info/projectA-1.html

＊6 トラウマの天知茂 blog
南郷次郎探偵帳 影なき殺人者
www.amachi.info/blog/index.php?e=101

《上映館公式ページ》
シネヌーヴォ日本映画大回顧展
新東宝 映画まつり
　Preseted by 新東宝キネマノスタルジア
2024.7.6〜9.6 シネ・ヌーヴォ
www.cinenouveau.com/sakuhin/shintoho2024/shintoho2024sakuhin1.html