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エンジェルのkojikojiのレビュー・感想・評価

エンジェル(2007年製作の映画)
3.7
No.1577
2023.12.4視聴
オゾンー12(2007年作)13/31

オゾン監督がシェイクスピア調のドラマに挑戦した意欲作。
原作は英国の作家エリザベス・テーラー同名長編小説。(エリザベス・テーラーはあのエリザベス・テーラー…………ではありません!)

そのため物語を楽しめる映画だ。小説を読んでいるような気持ちになる。
主人公には全く共感できないが、物語としてはすごく面白い。

英国の田舎町に住むエンジェル・デヴェレル(ロモーラ・ガロイ)は、食料品店を営む母と二人暮らしの夢見がちな少女。

学校では浮いた存在。そのため、家にこもって小説を書いている。ある日出版者に送りつけて小説の刊行が決まったとの手紙を貰う。
そしてエンジェルは人気作家になる。エンジェルの生活は一変、裕福な暮らしを始める。

エンジェルは、放蕩者の貴族の青年エスメ・ハウ=ネヴィンソンに恋をしてしまい、青年はカネ目当てでエンジェルと結婚する。エスメの妹ノラは、結婚もせず世間知らずのエンジェルの面倒を見る。

栄光と挫折。その顛末は哀れであるが、何故か彼女の他の道が見えない。彼女の人生はそうなるしかなかったように思えるのだ。

1930代パリがよく描かれているが、旅行するシーンが合成が多くて、あれーっとなってしまう。何故あんな嵌め込み画面を作ったのだろう。何か意味があるのかと考えてしまうほど明らか。近頃では珍しいぐらい。予算がなかったのだろうか。

オゾン監督作品を並べてもこのジャケ写は際立っている。
エンジェル役のロモーラ・ガライは、自己中の作家にピッタリ、絶対好きになれない女性を見事に演じている。
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