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チャイナ・シンドロームのBOBのレビュー・感想・評価

チャイナ・シンドローム(1979年製作の映画)
3.8
原発のメルトダウンを題材にした社会派ドラマ。

一人の女性リポーターが、原子力発電所内で起きたトラブルに遭遇。その後の隠蔽問題に迫る。

"nuclear dynamite"

今尚全く古びていないテーマ。
チェルノブイリや福島の原発事故が起きる前にその危険性を指摘したという意味で、もっと評価されるべき作品だと思う。本作のアメリカ公開からわずか12日後にスリーマイル島原発事故が発生し、反原発運動が盛んになったことも功績の1つ。

システムには問題なし。ずさんな手抜き調査・管理、人間、ひいては利益を追求する企業というシステムに問題あり。組織の利益のためなら、人命をも犠牲にする隠蔽工作はとてもリアル。

ジャック・レモン。ロマコメ以外のシリアス演技は初めて観た。ハーバード卒だったとは知らなかったが、インテリ役もとても良い。企業方針とプロとしての良心との間で葛藤する制御室長。

初ジェーン・フォンダ。本作での彼女は、『十二人の怒れる男』や『怒りの葡萄』など社会派作品の印象が強い父ヘンリー・フォンダと似た雰囲気があった。顔も似てる。

女性の社会進出、いわゆるガラスの天井問題も扱われている。自分のスクープ記事すら担当できず、可愛い動物コーナーばかり回される女性レポーター。職場の男性たちは性の対象としてしか彼女を見ていないような描かれ方をしている。自宅の壁にはマリリン・モンロー?と思われるセクシーな女性の絵が飾られていて、鏡を使った見事な構図で登場する。

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