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ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつのKANIOのレビュー・感想・評価

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ビートルズ結成以前、クオリーメン時代のジョン・レノンの伝記映画。
若き日のジョンが、厳格な育ての母親と奔放な実の母親との間で揺れ動くセンシティブな親子愛に葛藤する姿を描いた作品。

他の伝記映画のように、主人公が成功を収めるまでのサクセスストーリーや晩年のエピソードを描くのではなく、青春真っ只中のジョンが抱える悩みや、音楽や仲間との出会いに重きを置いて描かれる、1人の少年の物語。
ポール・マッカートニーとの友情がアツい。

副題の「ひとりぼっちのあいつ」は、ビートルズの楽曲「Nowhere man」の日本語タイトルから取られた物だが、作中のジョンの周りには常に誰かがいて、仲間や母親などからもそれなりに愛情を受けているようなので、そこまで「孤独な少年の物語」という印象は受けなかった。

コアなファンでない限りはダイナミックさに欠けるやや薄口の映画に感じるかもしれないが、音楽好きにはオススメの作品。

これは、生まれながらにして複雑な環境を背負ってしまった少年が「音楽を通して愛を見出す物語」ではなく、「愛と直面した少年がそれを音楽という形にする物語」なんだ。

2人の母親に愛され、その愛に傷付き、少年は”ジョン・レノン”となった。
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