青べか物語のmat9215のレビュー・感想・評価

冒頭の空撮から始まる、江戸川下流域の広大で真っ平な風景。カメラが地上に降り立つと、そこには野鄙な人々が住まう。後にアメリカの映画会社のテーマパークが築かれたり、高層集合住宅が溢れたりして風景は一変し、上品な善男善女たちが集うことになる。このエキゾチック・ジャパンな風景をフィルムに残したことは、アニエス・ヴァルダの『ラ・ポワン・クールト』と同じく、劇映画にしてドキュメンタリー的な偉業。映画としては、個々のエピソードを関連なく散りばめる群像劇に徹していて、ちょっと散漫な印象。