菩薩

恋人たちの失われた革命の菩薩のレビュー・感想・評価

恋人たちの失われた革命(2005年製作の映画)
4.3
ガレルお得意のジュテームなお話。蒲田行進曲に対するキネマの天地的な五月革命。68年に燃えたぎる情熱と、69年に沈みゆく気力、自由と抑圧、権利と義務、希望と絶望、白黒付かぬ灰色の世界で煙に紛らす焦燥感。腹も膨れぬ抽象芸術に何の価値を見出すか、更に無価値な永遠の愛の誓い。愛こその革命、革命こその愛、愛こそが革命?愛=SEX≒愛、の関係性。芸術は爆発、大爆発、燃えすぎて残った青より蒼すぎる春の燃え滓。ガレルに三時間付き合うのは流石にダレるかと、アヘンの鎮静効果が更に拍車をかけるかと、そうかと思ったらそんな事も無く。何にせよベルトルッチへの目配せは笑えるし、彼ら・彼女らのアンニュイな目元とニヒルな笑いが全てを象徴する様な作品だと思う。近い将来、あらかじめ失われる恋人達への子守唄、眠れ愛よ、静まれ魂よ。
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