いろどり

ヤンヤン 夏の想い出のいろどりのレビュー・感想・評価

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
4.2
歳を重ねれば重ねるほど人生は複雑に思えてくるけれど、本当は1足す1は2(原題)と同じくらいシンプルなもの。
新年1作目に本作を選んだ私。難しく考えすぎなところがある私に今、必要なメッセージだった。

原点回帰してもあのときの後悔をやり直すことはできないし、人生を繰り返しても理想の道は歩めない。今感じる後悔も挫折も、あのときがあるから味わえる。深みのある人生は過去の自分から形成されている。

子供の言動はいたってシンプル。
本人には見えない後ろ姿を写真にとって教えてあげる芸術家も真っ青の前衛的で哲学的な8歳のヤンヤン。与えられることだけを考えていたヤンヤンが与えるほうへまわることで、おばあちゃんの死を受けとめていく。その姿はヤンヤン以外の人たちのドロドロした人間関係に差し込まれた一粒の清涼剤のよう。

さりげなく流れるティンティンのピアノ「サマータイム」と重ねる窓の外からの風景、幾度も映るガラスに反射する世界は物悲しくも美しい。
夢と現実、過去と未來。
昏睡状態のおばあちゃんに話しかけることは自分と向き合う大切な時間。
それぞれの見えていない世界を見せてくれるおばあちゃんが残した最後の魔法。

ティンティンの手に残った蝶々が、あの植物だらけのベランダから、人間たちの悲喜こもごもを乗せるエレベーターから、マンションの入り口から羽ばたいていく姿が目にうかぶ。

昨年は映画を楽しむ心をみなさんと共有
出来て充実した一年でした。
今年もよろしくお願いします(*´ー`*)
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