ヤンヤンが虫取りしたりする話ではなく、家族と男と女、夏の終わり少し成長したヤンヤンの物語。様々な局面を瑞々しく駆け抜け、ハッとするほど純粋なヤンヤンの視点と思考。
夜の光と重なりガラスに映る帰る場所のない女の姿。場所や時間を超え背徳よりも胸の高鳴りが勝る密会。巡り巡る皮肉。男で女で親で子で。立場が違えば気持ちも違う。ヤンヤンのが撮った後ろ姿の写真に見る分からなかった真実の半分。淡い障子に黒く浮き出る影と僅かに残る初恋の熱のような煙草の火を携えた男の姿。よく行く熱海も熱海じゃないみたい。何もかもが美しい曲線で繋がっていく。宝物のようであり、遠い昔の優しい抱擁の余韻を感じるような懐かしさのある物語。
一つの解釈としてネタバレに。
お互い何が見えているかわからないとしたら
それをどうやって教え合うの？
だからカメラがある。撮ってみるか？
真実の半分だけってあるの？
前しか見えないなら半分しかわからないということでしょ？
