黒田隆憲

プロメテウスの黒田隆憲のネタバレレビュー・内容・結末

プロメテウス(2012年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

初見でスコア1.9を付けた過去の自分をタコ殴りしたい……。久々に『悪の法則』を見返したらやっぱり最高で、あのリドリー・スコットが『悪の法則』の直前に手がけた『プロメテウス』が面白くないなんてことがあるだろうか?と思って再チャレンジしたら最高でした(笑)。これを駄作と思った過去の俺はなんだったんだ。

おそらく『エイリアン』の前日譚ということで余りにも期待をし過ぎたのだと思う。「期待よりも出来が悪かった」のではなく、勝手に想像を膨らませていた世界観と余りにも違い過ぎたというか(ファースト・シーンで登場する〈エンジニア〉の造形に全くノレなかったのです)。そういうの取っ払ってフラットで見たら身悶えするくらい面白かった。

我々はどこからやってきて、どこへ行こうとしているのか?という根源的な問いをテーマにしつつ、リドリーらしく不条理で残酷な世界が目の前に立ち現れる。人間を創造したと思しきエンジニアと呼ばれる巨人に、遥々地球から命がけで会いにいく理由が「どっかの企業の社長が不老不死の術を知りたいから」というしょうもないものだったり、いざ会った途端にぶっ殺されたり(笑)、人間の業の深さをまざまざと見せつけられる。マイケル・ファスベンダー演じるアンドロイド、アダムも造形から所作から最高だったし、H.D.ギーガーの「イズム」も随所に散りばめられていてゾクゾクした。宇宙船の操縦室の天球図や、エンジニアとタコエイリアンとの決闘も素晴らしい。この勢いで『コヴェナント』も見直します。
黒田隆憲

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