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七年目の浮気のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

七年目の浮気(1955年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ニューヨークの出版社勤める編集者のリチャード・シャーマンは今年で結婚7年目になる恐妻家。この日、リチャードは妻のヘレンと息子のリッキーを避暑地に送り出し、7年ぶりの一人暮らしを満喫しようとしていた。しかし、避暑で留守にしている階上の家主の部屋に、そこを間借りしたセクシーなブロンドの美女が現れる…。

どんな男でも一度は疼く浮気の虫。
ともすれば泥沼にハマりそうな状況を、とことん茶化して笑いに変える。
名匠ビリー・ワイルダー監督がヒット舞台劇を映画化したセクシーコメディの秀作。

蒸し暑いニューヨークのアパートで、一時の独身気分を満喫しているリチャードのもとに、上の階に住む美女がリチャードの部屋のクーラーに涼を求めてやってくる。
そんなウマイ話があるものか?
どう考えても貞操観念がなさすぎる。

自宅にいながら妻の心配も無いなんて、あわよくば…と思う。
リチャードでなくとも妄想が広がる。
自分は女にモテる男だと、もともと妄想癖があるリチャード。
その誇大妄想の数々は「鏡を見ろよ、馬鹿だなぁ…」と言いたくなるほど笑える。
男性は同じような妄想で皆ドキドキするだろう。

意を決して映画に誘い、地下鉄の通風口に立ったマリリン・モンローの白いスカートが巻き上げられるシーンはあまりに有名。
衆人環視のもと、脚線美も露わなのに風の涼しさに喜ぶなんて、無邪気にもほどがある。

あまりに話がウマすぎるため、後半リチャードは誰かの策略では?もし妻にバレたら?と疑い深くなる。
ブロンド美女があちこちでリチャードのスケベ心を言いふらし、もし妻が知れたら銃で撃たれてしまうなどと、打って変わって自虐的な妄想のオンパレードも笑える。

結局は美女に何もせず、改心して妻の元へ向かうとは。
「家庭を大事にしなさい」と世の男性への戒めとしてハートフルに終わるとは、コメディとしてそつがない。
妄想というコメディだからこそ、セックス&バイオレンスの描写が深刻なものにならないのが上手い。

この作品、主役はモンローでなく、結婚7年目の夫のトム・イーウェル。
実質、助演がマリリン・モンローなのだが、観終わった後は、圧倒的にモンローの印象が深い。
モンローは、発言、容姿、行動が煌めいており、まさに男の思い描く都合の良い女性。
だが、その思わせぶりな態度は世の女性から嫌われるだろう。
また、妻子がアパートに帰ってきた時、ご近所でやたらと親しげなモンローとの関係をリチャードはどう取り繕うのか?
尻切れトンボの結末がスッキリしないのが難点と言える。

感動や感激する場面等は無いが、男は自嘲し、女は「男は馬鹿で可愛い生き物」と言うことを知ることができる、良くできた艶笑コメディだ。
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