ノットステア

明日に向って撃て!のノットステアのレビュー・感想・評価

明日に向って撃て!(1969年製作の映画)
3.7
2020.5.1二回目鑑賞

○感想
こんな終わり方があるのか!
生き抜こう。次はオーストラリアだ。という意味を込めて『明日に向かって撃て!』というタイトルかな?
調べてはじめて知ったけど、追っ手はピンカートン探偵社だったらしい。ピンカートン探偵社といえば。。。!!
ロバート・レッドフォードもかっこいいけど、この映画はポール・ニューマンがかっこいい。
崖から飛び降りるシーンは、勇気があるブッチと、泳げなくてビビるけど、覚悟を決めたらすぐに飛び込むキッドの両方かっこいい。
ロバート・レッドフォード好きの父親と高校生くらいのときに観たが、あんまりよくわからなかった。2回観た。まだ理解できない。またいつか観たい。良さをわかるようになりたい。


結局どんな映画なのか。何を表現しているのか。何が良いのか。わからなかった私にとって、青柳秀侑さんのレビューが勉強になった。以下引用。

ある日レストランでサンダンスは、アメリカからの追っ手が迫っていると気づきました。一時、鉱山の給金運びの護衛の仕事について、追っ手をやり過ごそうとします。けれど襲って来た山賊を撃ち殺した瞬間、そう、薄汚れた山賊を撃ち殺した瞬間、自分たちは人殺しだと切実にその事実に気づいたのです。 最初は金を奪っていただけだったのに、今では平気で人を殺しているではないか。 護衛という立場になってみて初めて、強盗の浅ましさに思い至ったのかもしれません。金を奪うために仕方ない人を撃つ。 主人公の二人も、最初はそんな風に思っていたのでしょう。 しかし人の命まで奪ってはもうあとには引けないのです。いつの間にか修羅の道へ入り込んでしまいました。

強盗稼業から、結局二人は抜け出せません。

拳銃の普及で、人の命が簡単に奪われるようになった開拓時代。命の軽重は、バランスを崩し始めました。。撃つ方はさほど労することなく、撃たれる方は一瞬でそれまでの人生を絶たれます。命の重さと拳銃の軽さ、心の天秤も釣り合わないまま、よく考えもせずに引き金を引き、いつの間にか修羅に落ちました。アメリカは銃の所持に対する規制が、他国と比較して緩い社会です。 銃の乱射事件の報道を毎年のように耳にしますが、規制はなかなか進みません。 西部劇の時代から、天秤の傾きは偏ったままなのです。

青柳秀侑(2020)『NHKこころをよむ シネマレッスン 主人公が教えてくれること』NHK出版



○好きなシーン
・ブッチ「待て、待て、まだだ。ルールをちゃんと決めなきゃな」
(銀行強盗の下見を終えたブッチとサンダンスは、山のアジトに戻る。すると、ブッチに代わってリーダーになろうとする手下のハーヴェイが、ブッチにナイフでの戦いを挑む。受け入れたブッチだったが、機転をきかせて、ナイフを使わずにハーヴェイをノックアウトしてリーダーの座を守る。その時のやりとり。)

・サンダンス「高望みしない」「頭がよくて美人なら…」「優しくて——」「親切で しとやかで——」「品があって——」「かわいくて陽気で…」
(列車を襲ったサンダンスとブッチは売春宿へ。ブッチが売春婦とキスをしているのを見て、サンダンスも女性を見つけに行くという。その時のセリフ。サンダンスの要求は高い。だが、サンダンスにはエッタという恋人がおり、探す必要などないのだった。サンダンスはエッタの家へと向かう。)

・サンダンス「泳げないんだよ!」
(崖から川に飛び込むシーンの前の、ブッチとサンダンスのやりとり。ハンサムで、銃の名手で、カッコつけるサンダンス。なんでもできる完璧な男のようにも見えるサンダンスだが、実は泳げないという事がわかる。そのことを知ったブッチは大爆笑。)

・ブッチ「俺は人を撃ったことがないんだ」
(正業につこうと給料輸送の護衛の仕事をするブッチとサンダンス。だが、護衛していた鉱山のマネージャーは、あっさりと山賊に撃たれて殺されてしまう。給料袋に群がる山賊たちの前に現れたブッチとサンダンスだったが、山賊たちは今にも銃を抜きそうな気配を見せる。)

・ブッチ「あれで援護かよ?」
サンダンス「あれで走ってたのかよ?散歩してるのかと思ったぜ」
(結局強盗の生活に戻ったブッチとサンダンス。盗んだ牛に所有者を示す焼き印がされていたことから足がつき、警官隊に囲まれてしまう。ブッチが馬のところまで銃弾を取りに行き、サンダンスが援護する。銃弾を取ってくることには成功したものの、2人とも負傷してしまう。その時の2人のやり取り。絶望的な状況の中で、お互いに軽口をたたき合っている。そんな2人は、決して最後まで弱気なことは言わない。)

・ブッチ「まあ、考えといてくれよ」
(いよいよ追いつめられたブッチとサンダンス。2人とも負傷しているが、そんな中でも決して弱音は吐かず、次に行く場所の話をする。しかも、普段と変わらないような感じで。サンダンスはオーストラリアを最初はいやがっていたものの、ブッチと話すうちに少しずつ考えが変わっていく。)



○ブッチが自転車に乗るときの挿入歌
『雨にぬれても』



○登場人物(キャスト)
・ブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)
強盗団「壁の穴」のボス。
列車強盗や銀行強盗を繰り返す。
頭の回転が早く、強盗の計画を練るのが得意。銃の早撃ちやギャンブルは苦手で、人を撃ったことがない。社交的。

・サンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)
ブッチの相棒。早撃ちの名手でギャンブルも得意。
寡黙な男だが、ブッチとはよく口喧嘩をする。楽観的なブッチよりも慎重で用心深い。泳げない。

・エッタ・プレイス(キャサリン・ロス)
サンダンスの恋人。26歳の教師。エッタの自宅が、ブッチとサンダンスの隠れ家。2人が犯罪行為を繰り返していることは知っているが、止めない。



○あらすじ
落ち目の最強コンビ。
列車強盗に失敗した2人は、久しぶりに「壁の穴」のアジトへ帰る。
部下がボスの交代を主張し、ブッチは決闘を申し込まれる。ブッチはあっさりと部下を倒す(ルールを決めようと油断させて急所を蹴り上げ、叩きのめす)。
行きの列車を強盗。

ブッチはエッタを自転車に乗せてやる。

帰りの列車を強盗。

追跡名人のバルチモア卿と、凄腕保安官のレフォーズ率いる6人の追っ手。逃げても逃げても2人の後を追ってくる。

岩山の崖っぷちまで追いつめられた2人は、撃ち合うか、川へ飛び込むかの選択を迫られる。泳げないことを告白したサンダンスをブッチは笑い飛ばし、2人は覚悟を決めて崖下の川へ飛び込む。

何とか逃げ切った2人は、エッタの家に身を隠す。

列車で運んでいた金を盗まれたユニオン社の社長が6人の追っ手を高額な報酬で雇う。その契約はブッチとサンダンスを殺すまで続く。

ボリビアへの高飛び。エッタは、“2人が死ぬところだけは見ない”という条件で、同行。

ボリビアでブッチとサンダンスは銀行強盗を始める。
ボリビアの警察も2人を逮捕することができずにいた。

ボリビアのレストランで保安官のレフォーズを目撃。彼らはまだブッチとサンダンスを追っていた。しかし、ブッチたちが真面目に働けば、外国では手が出せない。それを見越したブッチは、サンダンスとともに強盗稼業から足を洗い、鉱山で働くことに。

鉱山の管理人のパーシーは、サンダンスの早撃ちの腕を見て、2人を山賊から給料を守る用心棒として雇う。
パーシーの護衛中、“もうすぐ危険地帯だ”と言った直後、パーシーは銃弾に倒れる。2人は山賊の銃撃をかわしつつ、一旦その場を離れる。
山賊と撃ち合い。更生するはずが、罪を重ねる。金はしっかりもらう。

エッタは先にアメリカへ帰る。

2人は山賊の真似事を始める。

休憩に寄った町で、少年が2人の馬を見て警察へ駆け込む。
広場で食事をしようとしていた2人は、いきなり銃撃されて建物内に逃げ込む。
2人とも撃たれて重傷を負う。
ブッチとサンダンスは“次はオーストラリアへ行こう”と夢を語る。敵の中にレフォーズはいなかったので、大したことないだろうと判断した2人は、思い切って外へ飛び出す。その瞬間、広場に無数の銃声が鳴り響く。