HAYATO

明日に向って撃て!のHAYATOのレビュー・感想・評価

明日に向って撃て!(1969年製作の映画)
4.3
2024年119本目
アメリカン・ニューシネマの代表作として知られる実在した銀行強盗の逃避行を題材にした西部劇
『スティング』の名コンビ・ポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードが共演。
1890年代アメリカ西部。頭が切れるブッチ・キャシディと早撃ちの名手・サンダンス・キッドは、強盗団を率いて鉄道の襲撃や銀行強盗を繰り返していた。しかし、何度も被害に遭っていた鉄道会社がついに凄腕の追跡隊を雇い、ブッチとサンダンスは執拗に狙われる。追われる身となった2人は、サンダンスの恋人・エッタを連れてボリビアへと逃亡する。2人はボリビアでも強盗を働き、たちまち悪名を響かせるのだった。
脚本は、『ミザリー』のウィリアム・ゴールドマン、監督は、『スティング』のジョージ・ロイ・ヒル。主演2人の他、『卒業』のキャサリン・ロス、『三十四丁目の奇蹟』のジェフ・コーリイ、『フットルース』のティモシー・スコットらが出演。当初スティーブ・マックイーンが出演する予定だったが、都合により降板。ニューマンの奥さんの薦めで(ニューマンによる後日談)、当時まだ無名だったレッドフォードが起用された。
第42回アカデミー賞では、大ヒットした“雨にぬれても”が主題歌曲賞を受賞した他、全部で4部門を受賞。
ブッチとサンダンスのユーモラスな会話やバート・バカラックが手がけたポップな音楽が新鮮で、いい意味で西部劇らしくない爽やかな印象を残す。
手に汗握る銃撃戦のシーンに加え、ブッチがエッタを自転車に乗せて走り回るシーンや、逃げ場を失ったサンダンスが泳げないために川に飛び込むのを躊躇するシーンなど、エンタメ的な魅力に溢れた場面がたくさんある。
最後まで逃避を続ける無法者の「明日に向かう」生き様は美しく、希望に満ちた彼らのかっこよさは比類なきもの。
2人が拳銃片手に建物から勢いよく飛び出した瞬間、画面がストップし、銃声が響き渡るクライマックスは、映画史に残る名シーンで、ジョージ・ロイ・ヒルの非凡なセンスを感じられる。
本作の出演料でユタ州に居を構え、1978年に映画祭をスタートさせたロバート・レッドフォード。時が経ち、現在まで続くその映画祭は、本作での役名を冠した「サンダンス映画祭」と名前を変え、今なおインディペンデント映画への支援とその作り手の発掘に大きく貢献している。
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