㊗️マリオバーヴァBlu-rayBOX発売決定！🎉

イタリアホラーの父と呼ばれ、スコセッシとかフェリーニとかにも影響を与えた巨匠の作品がやっと日本でもBlu-rayに！日本版DVDは遥か昔に発売されたのですが、全てプレミア価格…。主要作品＋日本初となるレア作品を加えたBOX発売とかもう買うしかない！！

というわけで発売を記念してまだ見てないやつを！本作はホラーではなくて、タイトル通りバイキングがイギリスに復讐するアクションアドベンチャーなんだけど、バーヴァらしい絵画的構図&色彩の美しさ、そしてカッコ良さとかリアリティよりも泥臭さや外連味を重視したアクションで魅せる楽しい作品。

イギリスの海岸近くに王国を築いて暮らしていたバイキングたちを急襲し、大量虐殺の末に海へと追いやったイギリス国軍。しかし、イギリス国王も何者かに殺害される。実は、国王はバイキングとの平和的解決を望んでいた。大量虐殺と国王暗殺はイギリスの実権を握ろうとしたイギリス宰相が水面下で企てたものだった。その20年後、バイキングが復讐のために再びイギリスへと接近する…というお話。

イギリス国軍によるバイキング大量虐殺シーンの地獄感が凄まじい。抱き抱えた赤ちゃんごと射抜かれる母親や、大量に転がる死体、その中を泣きながら逃げ惑う子ども。追いやられた海で、死体や木片等が浮かぶ中をはぐれた兄弟の名前を呼びながら溺れまいと懸命に生きようとする子どもの掠れたか細い声と表情で泣きそうになった。

バーヴァのアクションは、人間同士が殺し合うことによる生々しい怖さを感じさせる演出が多く、派手な何かがあるわけではないし低予算でこじんまりとしたものなんだけど、手前、奥、左右、至るところに配置された人々がカメラに切り取られた空間以上の「地獄」の奥行きを感じさせるし、殺される人があげる断末魔ひとつとってもドラマチックさよりも、突然訪れる「死」の無慈悲さを強烈に感じさせる「静」の迫力がある。めちゃくちゃうまい。

バイキングとイギリス国軍が争うという、（史実は置いといて）現実路線の物語でありながら、ファンタジーな外連味を仕込むことで絶妙に現実からズラし、映画として構築された世界観の中でのリアリティの振り幅を広げていくのが丁寧で、普通なら「そうはならんやろ」って思ってしまうものでも、構築された世界観に引き込んでしまうからこそ、映画内での独自のリアリティの範疇に全てを収めてしまう。どんな題材でも自分の土俵に引き込んで相撲をとるバーヴァのうまさをひしひしと感じる。

ファンタジーに振り切った前年の『ヘラクレス魔界の死闘』ほどではないけれど、本作も現実離れした世界観構築に異次元色彩が一役買っている。

そして転機となるような重要シーンでも画面構築が陶酔してしまうほど美しく、「子どもを授かる」シーンは沈みかけの夕日や光と闇が混在した映像が王国の危機を表現しつつも、神々しさを感じさせる黄味がかった幻想的な色合いが必ず訪れる「希望」を強く予感させる。この辺りは『スターウォーズ』にも影響を与えてそうな気がした。

そして今回見て驚いたのが、20年の時の経過を伝えるテロップが出るシーンで使われる曲が『ミッドサマー』のファーストカット（人生の四季を伝える絵）で使われてる曲と瓜二つなこと。バイキングの曲として有名な曲なのかな。もしそうじゃないなら、アリアスターは本作から引用したってことになりそう。ということはマリオバーヴァはアリアスターにも影響与えてる可能性があるね。

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