くりふ

カラー・オブ・ハートのくりふのレビュー・感想・評価

カラー・オブ・ハート(1998年製作の映画)
3.5
【書き割り50's】

U-NEXTにて。けっこう好きで、再見したいと思っていた。

50's白黒テレビの、規範的ゆえ楽天的なホームドラマ…という架空の現実に迷い込んだ、現代(1998年)の高校生兄弟。二人は男女の双子で、一方はそこが理想郷、一方は窮屈な地獄、と捉えたが…。

最近だと『アイ・ラブ・ルーシー』の舞台“裏表”を描いた『愛すべき夫婦の秘密』があったが、比べるとコチラは、あのような現実を寓話化して、より“色々”なことを詰めようと試したもの、かな。

テーマを掲げて物語り、結末に至らせる…という構成になっていないのね。ある意味実験映画のようで、状況だけ用意して登場人物を放り込み、どうなるか試している…ように作っている。

…でもなーラスト、「次はどうなる?」の先がアレだからね!w …結局、放置プレイかい! www

この寓話では、書き割りの前でルーチンに動く紙っぺらな人物を、未来人が平面から立体に膨らませてしまう。が…人は本能から膨張するってトコは、正しいよね。で、新たに生まれたメディアは、エロコンテンツによって大衆に浸透する…という真理も、改めて学べます。www

個人的に、翌年の『アイス・ストーム』と地続きに思えてしまう。トビー・マグワイアとジョアン・アレンの親子による、家庭問題炎上ってトコが同じだしね。アチラは70'sの話だから、間に挟まるわけだ。

童貞丸出しのトビー・マグワイアが、両作とも“まぐわい”映画の中心だってのもオモロイが、ジョアンさんが上手い熟女優だと改めて感心。ハリウッドは、この年齢層の女優さんは排除しがちだと思うけど。

で、ウィリアム・H・メイシーが、50'sでは理想的父親だったのに…やっぱ情けない役!鉄板で笑う。

あと改めて、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』へのアンサーだと思った。マグワイア演じる主人公は“裏マーティ”だよね。アチラでサバービアの看板(書き割り)の陰に、タイムマシンを隠していたことが妙に、心に残っていますが、本作とは近親憎悪みたいな関係だと思っちゃって。w

50'sの規範を守るか、変えるか、その違いは大きいが、守ってイヤな後味を残すBTTFより、カオスと化しても、戒律というハリボテを壊す本作の方にまだ、私は未来を感じます。

ところでリース・ウィザースプーンはまだ、ギャルみたいなものでしたね。カワイイといえばカワイイ。

<2024.4.7記>
くりふ

くりふ