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他人の顔のぉゅのレビュー・感想・評価

他人の顔(1966年製作の映画)
3.8
2022年 鑑賞 22-289-32
BS松竹東急 銀座よる8シネマ にて
安部公房先生の小説を原作に、「利休」「豪姫」等の勅使河原宏監督、原作者の安部公房先生脚本による、化学研究所の事故によって顔面に醜い火傷を負い「顔」を失った男(仲代達矢さん)が、精巧な「仮面」を作成し、自己回復のため妻(京マチ子さん)を誘惑しようとするドラマ作品。新たな「他人の顔」をつけることにより、自我と社会、顔と社会、他人との関係性が考察されている。

ー 白黒と不気味さとエッジの効いたストーリーと ー
ミステリーの小説やドラマや映画って、顔を隠した見るからに怪しい人が登場しますが、犯人ではないにしろ事件に関わっていることが多いですよね... でもそれをわかった上でのミスリードもありますからね... でも結局顔隠していると怖いもので...

“ただこうして劣等感でえぐられた 心の穴を埋めてやったまでのことです”
モノクロ作品。手の模造品、レントゲン写真的な骸骨、異音、顔をしっかり見せない恐怖と包帯男の恐怖、消灯と闇、深海魚の目、二重生活のための部屋、妻の嫉妬、怪物と他人の目、死刑執行人は以前仮面をつけていた、空襲警報、「海が見たい」とあの階段を上から撮ったシーン、「たかがしれてるよ 人間には羽が無いんだから どんなに高く飛び跳ねたつもりでも また元の所へ落ちてくるのさ」、女性が化粧をする理由、顔を見せないという美徳(「源氏物語」の時代の女性の黒く長い髪やイスラム教下での女性は長い布で顔を隠す)、謙っている印、皮肉と自惚れ、包帯男の人格と仮面の人格、仮面が選んだ服装、仮面(をつけている自分)に酔っている、怒りと妻を誘惑、妻の追跡をするシーンが...

私も知っている仲代達矢さん、京マチ子さん、岸田今日子さん、市原悦子さん、前田美波里さん、井川比佐志さん、田中邦衛さんらの姿や声、あの音楽と不気味な映像やストーリーと、考えさせてられる哲学的な考え方や台詞、現代には絶対に出来ないであろう内容でめっちゃ掴まれた作品!ただエンタメ強めのおもしろい作品としては語れない作品で、ピーやモザイクも入るし、ラストの●●の群衆のシーンは個人的に恐怖を感じたので、観る時はご注意を!

「僕が “ピー” ってことを 先生が一番よく知っているはずだ」「君は “ピー” なんかじゃない!」

「何も君だけが孤独なんじゃない 自由というものはいつだって孤独なんだ 剥げる仮面と剥げない仮面があるだけさ」
ぉゅ

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