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フローズン・タイムのkyonのレビュー・感想・評価

フローズン・タイム(2006年製作の映画)
4.0
あらすじ読んでたら失恋から始まる物語だから悲しいのかなと思ったけど、とんでもない!笑
想像以上にハッピーエンドで観終わった後の余韻が良いなと思った。


失恋から不眠症に陥った画家志望の美大生は、あるときから時が止まったかのような静止の感覚を得る。その一瞬一瞬の静止に彼は美を感じ、ひたすらバイト先の深夜のスーパーでデッサン。

そんな日々を続けても失恋からはなかなか立ち直れずにいたが、スーパーの同僚の女性のふとした瞬間の美しさを見たとき恋に落ちる。


もしも不眠症の究極が時を止められるような感覚だったら?っていう日常の中に織り交ぜられたファンタジーが面白くて、画面観る度に撮影大変だったろうな…と制作側を考える。笑


この作品は写真家が監督らしく、ラストの雪のシーンを撮るために全てが張り巡らされていたんじゃないかってくらいラスト気合い入ってる。
その他にも不眠症に陥る主人公の寝てるカットとか撮る構図1つ1つがお洒落。

創作と失恋の相互関係もあって、
作者が1番精神的に追い詰められているときが創作は良い、みたいなのが体現されている。
あとは美のテーマ。
静止の女性たちの美が中心にあるから、ヌードとかも含め、生身なのに動を感じない雰囲気が画面全体に漂ってた。

女性から見てもすごい綺麗な身体だったなぁ。


スーパーの同僚の女性が最初死んだ魚ぐらいの目や雰囲気だったのに、主人公に惹かれ始めて徐々に綺麗になっていくっていう王道パターンも王道だけど、好き。

パーティ準備のシーン、男女関係なく気合い入れてみんな身だしなみ整えていて、ここって普通に見てるけど、ファッションのなんらかのパワーがあるよなぁ。


これくらい時間をじっくり感じられる感覚を得たら、きっと今まで気付かなかったあの人やその人の知らない一面がひょっこり顔を見せるかもしれない、その一瞬に気付いていない私は実はすごくもったいないかもしれない。もったいないこと、気付けなかったこと、もしその一瞬を見つけられたら?っていうロマンチックなテーマ。


最初はお洒落に撮りすぎてる感じがしてたのにじわじわと物語が染み込んでくる。
失恋したとき観たら元気もらえるなぁ。笑
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