ケロケロみん

スタンダール・シンドロームのケロケロみんのレビュー・感想・評価

4.0
スタンダールさんがフィレンツェのサンタ・クローチェ教会内の見事なフレスコ画を鑑賞時に突然気分が悪くなった。同じように名画を見て具合が悪くなったり記憶をなくす人が多い事が判明し以来この症状は「スタンダール・シンドローム」と呼ばれる。その研究本を読んだダリオ・アルジェントはこの症状に陥った女性を中心としたサイコスリラーを作り上げた。
凄いのはこの症状を引き起こすのにふさわしい、圧倒的な美を感じさせる舞台として「ウフィツィ美術館」の内部をそのまま、ロケで使ったというところ。この美術館で最低限これだけは見てと挙げる作品は全て映画の中に出てくる気前よさ。繊細な女の子が正面から向き合ったら、絵に入り込んでもおかしくないと思わせるような作品ばかりです。これを日本で例えたら…奈良の大仏などいいかもしれません。
この映画で1番好きな場面は主人公のアンナ(アーシア・アルジェント)が精神科医の指示を受けて実家のヴィテルボに帰ったシーンです。アンナは玄関先で父親にハグしようとしますが父親はアンナの荷物を持ってあげるだけです。娘に気遣いをしているようで娘の欲しているものは気がつかずといった感細かな心理描写がビシッと伝わりました。
私この映画が撮影された次の年位に1人でローマとフィレンツェにいき、ウフィツィ美術館にも行ったのですが、ほとんどの記憶がないんですよ。ひょっとしてこれがスタンダール・シンドロームかなぁ(酒の飲み過ぎです)