餅太郎

オアシスの餅太郎のレビュー・感想・評価

オアシス(2002年製作の映画)
4.2
見終わって色んなこと考えてるうちに、自然と涙ぐむような作品。ハッキリと物が言えたり、自己表現出来たり、衣食住の心配が無用だったり、周囲から守られて生活していたりする自分達が知らない世界がある。もしかすると、分かってて見えない振りをしているのかもしれない。

何の映画....純愛....なのかな。

監督と脚本はイ・チャンドン。韓国映画ファンなら「あーまたやられた」って思うし、初めての方はとても驚くかもしれません。主演は『シルミド』のソル・ギョング。出る映画毎に完璧に違う人物を演じ分けるその様は、『国際市場で逢いましょう』のファン・ジョンミンを大きく凌駕しますね。韓国一のカメレオン俳優で間違いありません。ソル・ギョングに興味を持たれた方には『殺人者の記憶法』をオススメします。
姫コンジュ役のムン・ソリは監督の映画で各賞を総なめにする女優さんです。この2人が『ペパーミント・キャンディ』のあのコンビとは全然思えませんね凄過ぎます。

以下はネタバレ含みます

罪を被せてぬくぬくと生きている実兄や家族達を見て、どうしてそんな酷いことを....と思いましたが、自分にも誰かが身代わりになって苦しんだ何かが無いとは限らない。程度の差はあるけれど。清く正しく懸命に生きるのは難しいのかもしれません。

木の枝を懸命に切り落として、満足しながら連行される主人公には清々しさを感じました。
そしてラストシーン、姫は器用に回転しながら箒で床を掃除しています。隣の部屋には陽射しの中で舞う無数の埃が輝いている。もう幻を目で追って空想しながら寝ているだけの姫ではないのですよ....素晴らしい結末だとは思いませんか?

重度の身体障害者、発達障害のある方が取り上げられています、大人向けの作品です。
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