【何かを得ようとするためには、何かを失わねばならない】
「飼い犬は犬と一心同体。そして、何というか、犬が生きる喜びとなる」
3つの物語が事故という一瞬の出来事で交差し、それぞれの道に知らぬ間に影響を与えてゆく。
そして、そこに居合わせる犬が登場人物の生き様を的確に表している。
オムニバス的な物語の展開だが、伏線となるフックを張りつつ、視聴者に分かりやすくかつ巧妙に違和感を与える構成と、圧倒的なカメラワークに脱帽した。
それぞれに強さと弱さがあって自分勝手な人間味のある物語だが、どうしても残された者たちの人生について考えてしまう。
“人は失ったもので形成される。人生は失うことの連続だ。失うことでなりたかった自分になるのではなく、本当の自分になれるのだ(イニャリトゥ監督)”
ー人は何かを失った時、本性が垣間見えるのかもしれない。