アモーレス・ペロスの作品情報・感想・評価

「アモーレス・ペロス」に投稿された感想・評価

lente

lenteの感想・評価

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悲劇を悲劇として成立させるには
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
1/3

30代はじめの頃に出口の見えない暗闇に落とされたような体験があったのですが、救いを映画に求めて痛烈に裏切られたことがあります。作品は『21グラム』(2003年)で監督はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥでした。

たぶん今の状況と年齢で観てみれば、どうということもないだろうと思いますし、なぜそんな時にわざわざイニャリトゥを選んだのかと苦笑もするのですが、つらい状況のときには、選択する指先もつらいほうに向かってしまうことがあるからだろうと思います。

底を抜け出すときには、底を叩かなければ浮上できないというのは、一見すると真理ですが、時と場合によることを僕は知ることになりました。『21グラム』を観たときの僕は、底を蹴って浮上するつもりが、深い泥に足を絡めとられてしまうことになる。それからは心臓が鈍く乾いた音を立てるような時期を過ごすことになりました。

しばらく経ってからそれでもこの監督のことが気になり、処女作である『アモーレス・ペロス』に接したときには、深い納得感と共にその程度のことだったのかと少し裏切られたような気もしました。作品としてはよくできているのですが、それは作品として優れているだけであり、真に優れた作品が持つ自らの素晴らしさをさえ突き抜けていくような感覚はなかった。

ずいぶん勝手な思い入れからそう感じたのですが、『レヴェナント』(2015年)を観るに及びそれは見当はずれではなかったことを確認することになります。

映画の構成としては『クラッシュ』(2004年)にたいへん良く似ていますが、この『アモーレス・ペロス』(2000年)のほうが公開時期が早い(『クラッシュ』が本作から影響を受けたものなのかどうかは知りません)。いずれの作品もある1つの交通事故を中心として、オムニバスとして描かれる登場人物の人生が悲劇的に絡みあっていくことになります。

兄の妻に恋をしてしまうオクタビオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、DVを働かれている兄嫁への思慕を遂げるため奮闘するものの、結局は彼女に裏切られてしまう。その過程で起こした交通事故の被害者が女性モデルのバレリア(ゴヤ・ドレド)で、中年の編集者と不倫関係にあったものの、事故のあと足を切断することになり、彼との関係もうまくいかなくなる。またその事故を目撃していたのが殺し屋のエル・チーボ(エミリオ・エチェバリア)で、オクタビオの飼っていた闘犬を助け出すものの、その闘犬が可愛がっていた犬たちを皆殺しにしてしまう。

とどまることを知らない負の連鎖。

イニャリトゥの作風として挙げられるのは1つにはこうした負の連鎖であり、またその連鎖が生じている間、僕たちは先行きの見えない悲観的な状況にずっと置かれることになります。しかしながらそれは、悲劇的な物語としての悲劇性に終始しているような印象があり、そのことを暗喩としてどこに僕たちを連れていこうとしているのかがよく分からない。

絶望の連鎖ならばそれでもいいのですが、素材(モチーフ)をつなぎ合わせた先に立ち現れるはずの、主題(テーマ)の実感のようなものが僕にはどうしても感じられませんでした。現実世界はこの作品よりもずっと複雑にできていますし、悲劇の本質はその複雑さを単純化することではなく、ある強い気流のもとに象徴的などこかへと僕たちを連れていくことにあるはずだからです。

悲劇にせよ絶望にせよ、それをそれとして描いただけでは、描かれた悲劇としても絶望としても力を持つことはないように思えてならない。けれど優れた作品であることに間違いはないように思います。
tunatuna69

tunatuna69の感想・評価

4.3
イリャニトゥ監督デビュー作と思えない出来。
アカデミー監督賞作より良かった。
喵來

喵來の感想・評価

4.2
情熱の国。。。。。。!!!❤️‍🔥
犬のような惨めな救いのない愛。。。。ロマンスだけでなく兄弟愛も。。。
暗喩としての犬はわかるけど結構前面に押し出してきたな🤔
したらちょっと真ん中の話は要らなかったのでは。。?

全体的に退廃的な暗さでデロデロしてて大好きな雰囲気🥰
希望のカケラも残さないの最高ね。



メキシコわからん。メキシコのタランティーノもわからん。車の撮り方と悲劇の現れ方は似てたけども。。。
嫁さん学生でクズ旦那(すげえ典型)で純真な弟くん。闘犬……
まあ古今東西要素はたくさん。

いろんな家族出てくるからちょっとごちゃごちゃするけどそれぞれにびっくりするほどクズだ。。。男がみんなマトモでない………それでもずっと回っていっちゃうってメキシコのイメージこええ。。。
しかし情熱の国だから無駄に愛はあってその描き方がよかった。

賭け事って一度成功したらそこで引かないとね…際限なくしたら終わりよ。。。



日本食屋みかどってwww
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの第1作目ながら、時間ずらしや複数の物語が組み合わさっていくとこなど非常に秀逸だ。

特にメキシコの乾いた大地をそのまま感じ取れるような画作りで、冒頭のカーチェイスから一気に引きこまれる。

そこから逆戻りして、闘犬に賭ける男や、車いす生活に陥るモデル。そして殺し屋の仕事と別れた娘。
非常に魅力的なプロセスだが、どの話もハッピーエンドにならないまとめ方が余韻を感じさせる。

殺し屋が歩くのはぬかるんだ大地だが、その先の太陽には苦境を乗り越え未来が見える。届かない愛情がとても辛い。
Ayana

Ayanaの感想・評価

4.1
なぜか今まで見るタイミングを逃していた監督の処女作をついに。
この一作を作るのに生涯かける人が沢山いるんだろうなぁ、ってほど処女作ですでに出来上がってますやんて感じだけど、途方もない絶望感は個人的には他の作品に比べるとなかったのはそれぞれのストーリーの結びつきや深さがやはり作品を追うごとに増しているからなのかな。
この交差点での出来事と21gの出来事はそれを物語るような。
そうでしか生きる方法がない彼らなんだろうけど、犬が犠牲になるのはいたたまれない。そしてまたその犬によって、ビューティフルのようなもうなんでここでこんな救われない事件起きちゃうのよっていうね、、弱肉強食ですかね。
もう書けば毎回キリがないほどの情報量と感情が溢れ出す監督の作品は名作しかない。
めっちゃくちゃ映画だった。
最近映画を観ても感想を残すパワーがなくて全然できていない。
というのも何というか「これは映画です」「これは作り物の物語です」というものばかり観ていていたからか?

この映画はなんというか「映画です」という自己紹介もなく突然に現れて誰にも何にも配慮がなく生っぽくて、それでいてすごく映画だった。

お国柄なのかもしれなけれど、愛というにはお粗末でみんな自分自分していた。
つまり愛に貧しさを感じてしまった。
何で、そんなに凶暴で他人を思いやれないんだろう。と悲しくなるほどペラペラな人間関係がたくさんあって愛を持てよ!と叫びたくもなった。
他人に愛を持つというのはどういうことか。と考えた。
他人に与える愛がある人というのはそれを与えてもらって生きてきた人なんだろうな。って考えると真っ当な人を思いやる気持ちというのは貧しさの中では育みきない気がしてならん。
だからこの映画のタイトルすごくしっくりきた。
犬のような愛。
しみったれた愛。

みんな愛されたいから愛せない。
Ren

Renの感想・評価

3.0
犬好きの人、加えて動物が痛い目に合うシーンを一瞬たりとも見たくない人は超閲覧注意。特定の場面だけ目を瞑っていればいいというレベルではないので。それ自体が作品のテーマ性に繋がってしまっているなんとも不親切な作品(褒めても貶してもいない)。

これが長編デビュー作というのがまずヤバい。カメラがブレていたり粗さはあるけど、ベテランの監督が撮ったような意味不明な貫禄がありました。『バベル』のような、ある一つの事件で繋がる群像劇の形態がこの頃から確立されていたことが知られて面白かったです(『21グラム』は未見。いつか観たい)。

今作で語られる3章全てに「愛する人の喪失」「傷付いた犬」のモチーフが共通してはいますが、これを一本の長編映画としてパッケージできるかどうかはかなりギリギリのラインな気がします。中編×3本として観た方がラクかもしれません。
各章で、その章の主人公とは関係の無いシークエンスが挿入されるのもちょっと んー と思ってしまいました。関連があるなら良いけど、完全に「違う話」のシーンが入ってきてしまうと章を分ける意味が若干削がれてしまう気がする....のはズレた見方でしょうか。

『バベル』や『レヴェナント ~』でより顕著になったキリスト教的思想が今作にどの程度流れているのかは、特定の信仰無し&無教養な自分には分かりませんが、単純に物語を追うだけで楽しめはするので、それで良いのだと思います。
こうなってほしいと願った未来が、運や偶然などどうにもならない力によって捻じ曲げられてしまう悲劇を描いている点は、この頃から何も変わっていない。

あと今作の重大な欠点として、第3章へ向かうにつれ面白みが薄れていくというのがある気がします。第1章は「実兄イコール恋敵の分かりやすい図式」と「ドッグファイトの映像的インパクト(閲覧注意)」で飽きずに観られ、第2章は短く登場人物も少ないながら小品として楽しめたのですが、ラストでダレてしまった気がどうしてとしてしまいます。例えば『パルプ・フィクション』はそれがしっかりできていたよ。
1章はとても面白く、2章はブレイクダウン的に楽しみ、3章は(映画自体が長尺というのもあって)集中が削がれてしまった、そんな作品でした。とても惜しい!
matsu

matsuの感想・評価

4.3
1999年メキシコ映画。「21グラム」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の長篇デビュー作品。アモーレス・ペロスとはスペイン語で「犬のような愛」。※犬のような→しみったれた、という意味

これがデビュー作とは驚きです!! いきなり素晴らしい作品を作りあげました!!

一つの交通事故で交差する3人のオムニバス映画。「愛と喪失」がテーマ。


〜〜ネタバレあり〜〜

オクタビオは兄の嫁スサナを愛してしまう。オクタビオはスサナを兄から奪い2 人で逃げたい。愛犬を闘犬にして大金を稼ぎ、スサナに逃亡資金を渡す。人を雇い邪魔な兄を半殺しにするが、兄とスサナはオクタビオが貯めた金を全て持って出ていく。

チンピラに闘犬を銃で撃たれ逆上したオクタビオはチンピラをナイフで刺す。チンピラの仲間がオクタビオを車で追いかけ回し、オクタビオは赤信号で交差点に猛スピードで突っ込み交通事故を起こす。

交通事故の相手がヴァレリア。彼女は不倫相手と同棲を始めたばかり。ヴァレリアは瀕死の重傷を負い、脚を切断する。アパートの床下に彼女の愛犬が入り込んでしまい、犬は命を落とす。

交通事故の時に、ドサクサに紛れてオクタビオから大金と銃で撃たれて死にそうな犬を奪ったのが老殺し屋のエル・チーボ。犬を連れて帰り、必死で看病しオクタビオの犬は数日後に奇跡的に回復する…がエル・チーボは留守中、飼い犬たちが全てオクタビオの犬に噛み殺されてしまう。エル・チーボは離れ離れになっている実の娘への愛情を娘に伝えられないでいた…

3人のそれぞれにドラマがあり見応え十分の良作映画でした。
3つの欲望にまつわるお話が、巧みに混ざり合う物語。

混ざり具合が大きな見せ場なのでしょうけど、それ以上に重要なのは、
『私利私欲に走り浅はかな計画を立てる人間たち』への神からの目線。

神の脚本の前では、人間はただただ無力です。
HxMxYxSx

HxMxYxSxの感想・評価

4.0
人にどういうあらすじか聞かれても説明しづらいし、どこが面白いのかも説明しづらいもののなかに映画ならではの面白さがある。自分の中では「マグノリア」とかもそう。
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