アモーレス・ペロスの作品情報・感想・評価

「アモーレス・ペロス」に投稿された感想・評価

nasty

nastyの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

3つのドラマが交錯する。交わるのは交通事故のシーン。

兄と弟の物語。最後に兄は殺され、弟は交通事故で重傷を負う。兄と弟の確執は兄の死によって終わるが、希望は見えない。

ディレクターとモデルの物語。モデルは交通事故で片脚を失う。

浮浪者の物語。殺人の依頼を受け、それをきっかけに一財産築き、旅立つ。

全体的に暴力シーンが多く、血が多い。
人の血もあれば犬の血もある。

色調は彩度高く印象的。
どのドラマにも犬が絡んでくる。
何も解決せず、ただ時は流れていく。
星

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4.2
メキシコシティが舞台の群像劇。粒子の荒い映像と神経症的なカット割りが本場のアメリカ映画とは違った意味でパッションを感じる。イニャリトゥ監督はデビュー作から並々らぬ才気だった。

構成的にはタランティーノ「パルプ・フィクション」やソダーバーグ「トラフィック」などが念頭にあると思うのだが、それぞれのキャラクターが抱えるカルマというか、重々しい雰囲気作りがこの監督の特徴なのかも知れない。それぞれのエピソードが重なるに連れて重厚感が増してくる。次作「21グラム」「バベル」然り。

また全体的にどこか不条理で隠喩めいたムードを漂わせる辺りは同じくメキシコを代表する映画監督のルイス・ブニュエルの遺伝子を受け継いでいるからかも知れない。過去に荒廃したメキシコシティを描いた映画で「忘れられた人々」という映画があるが、あのムードにも通じる。

如何にも非ハリウッド的な野心作として堪能出来た。
BruceWayne

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4.8
2度目

やっぱこういう作品を作れるって日本人とは血が違うのかな…すごく情熱的なのに繊細さを感じる。
haru

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3.5
アモーレス・ペロス=犬のような愛(どーゆー意味?)

ある交通事故に遭遇する3人の男女の人生。

「バードマン」のイニャリトゥ監督のデビュー作。(ついでにガエル・ガルシア・ベルナルのデビュー作でもあるらしい)さすがというか濃密すぎて疲れました。というのも、ストーリーは3つのエピソードが交通事故で繋がる群像劇なのですが、一つ一つが1本の映画にできるくらいボリューミー!しかもどれも暗くて重い!ワンちゃんがいっぱい死にます。
テーマは喪失。兄嫁にアタックしまくるカエルくん、不倫中のスーパーモデル、実は殺し屋やってますなおじいちゃん。3人とも日常がすでに壮絶なのに、交通事故でさらに不幸が襲う。どれもおもしろいですが、2つめのモデルの話がいちばん良かった。よその家庭を壊して築いた幸せ。だけどそれは長くは続かない。
すべてを失ったときこそ、人間の本質が見えるんだそうです。絶望しか残されなかったとしても、多くの人間は生きていく。人間は意外と逞しい生き物です。
カラン

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4.5
アレハンドロ・イニャリトゥの初期の傑作。まあ、彼のはどれもこれも傑作なのだろうが。アモーレス・ペロスというスペイン語は「犬の愛」ということのようで、その意味はこの群像劇では多重化しているようだ。

①犬の愛→犬を愛すること
②犬の愛→犬が愛すること
③犬のような愛→犬のような忠義のある愛
④犬のような愛→惨めったらしい愛

③は忠犬ハチ公のように、義理深く人を愛することである。④は、日本語でも「犬死にする」などというように、この場合は無駄なもの、無益な犠牲を表している。英語圏での公開用に”Love’s a bitch”というタイトルが使われたようだが、この「愛はクソ」という言い方には、③と④が混ぜ合わさっているのだろう。

3つのエピソードが、語られる。その3つの物語の繋がりは、偶然の事故でしかない。各シーンの繋げ方と特にカーチェイスの獰猛なカメラワークと、行ったことはないが、メキシコ的生活の細部の描写、犬の演出は見事である。


以下、3つのエピソードの内容とコメ。



Episode I
メキシコの貧しい界隈の恋というより欲望と暴力に満ちた青春のストーリー。闘犬は恋の暴力の象徴。獰猛で暴力的な青春ラブストーリーは、デビット・リンチの『ワイルドアットハート』でもない限り、《来るべき未来》の到来を待っている恋愛主体から、何もかも全て奪い尽くしてしまうのが常である。恋愛主体はそもそも自分は何も手に入れておらず、恋は1ミリ足りとも成長していなかったし、全てを失ったという事実を突きつけられて、嵐が去った後のように呆然とたたずんで終わることになるというのは、定石というやつであろう。貧困と暴力の渦巻くメキシコシティの生活と圧倒的なカーチェイスの描写に、観ているのか辛くなるほどのエピソード。


Episode II
若いモデルと既婚の中年編集者の不倫のストーリー。不倫の新生活が始まった日に、シャンパンの買い出しにでて、事故にあい、大腿と膝を砕かれて、禍々しい鋼鉄で組まれたギプスをはめて、車イスでの生活が始まる。新しい家は工事が完了しておらず、床の穴から犬がネズミの巣窟になっている床下に落ちてまう。足の痛みで眠れず、会話をするごとに苛立ちが高まり、床下からは犬のすすり泣きが聞こえてきて、ギスギスとした人間関係と足の痛みが、ひたすら悪化する。エピソードIIは、神経をすり減らす痛みの話しである。


Episode III
様々な種類の犬を何匹も連れて、リアカーを押している浮浪者のような、しかし眼光の鋭い、いかにも裏のありそうな初老の老人が、交差点にいると、カークラッシュが起きる。この老人は、反政府活動に身を投じた元大学教授で、今は悪徳警官からの仕事で殺人の仕事を引き受ける殺し屋である。老人はカークラッシュの現場から、金を抜き、血を流す犬を自分のアジトに連れ帰り、手当てをする。この犬はエピソード1で、闘犬で荒稼ぎをした犬だった。ある時アジトに戻ると、自分の犬たちが死体になって横たわっていた。闘犬を勝ち抜いてきた犬が回復して、全部殺してしまったのだった。老人の思いを知らない闘犬の犬は甲斐甲斐しく、新しい主人の元に座っている。思えば、老人の人生もこの犬のようなものだ。政治運動をして、他人のためになることをしたはずだが、投獄されて、娘には自分は死んだという嘘を教えられている。せめてもと、娘に金を残すが、それは闇の金だ。そして、そもそも娘が貧しいようにも思えない。エピソードIIIは、他者のためにする行為とは何か、それはその人に好かれる行為とは違うことなのか、孤独の哲学である。





暴力の描写が多く、特に犬に対して拳銃が向けられ、発砲も行われるが、まあ安心して観てください。私も犬を飼ったことがあるので、最初はきついな、観るのやめようかなって思いましたが、メイキングによればこの映画の犬たちは、プロの役者さんのようです。人間の役者たちが暑さにやられている時に、犬たちは冷房の効いたトレーラーの個室で移動したそうな。また、闘犬で牙で傷つけ合わないように、透明の轡をしたらしい。しかし歯が見えないと、リアルさに欠けるので、歯が見えるが、噛めない程度に緩い轡にしたらしい。無論、専門家の指導のもとでである。この辺はヴェルナー・ヘルツォークの『ノスフェラトゥ』の不遇のネズミちゃんたちとは違う。
Kei05

Kei05の感想・評価

4.0
唐突に交差する運命が取り返しのつかない不条理を巻き起こす。多層的な物語をどこかある一点で結びつけるのは脚本家ギレルモ・アリアガの得意とするところ。荒々しくも目を捉えて離さぬ魅力が詰まっている。これを先に観ると『21グラム』とかに繋がっていくのも頷ける。
emi

emiの感想・評価

4.0
メキシコ・シティを舞台に3つのストーリーが描かれる。原題は「犬のような愛」(みじめったらしい愛という意味もあるらしい)で、この3つは不毛な愛の話だ。臨場感に溢れリアルな感触で、長尺さを感じさせず引き込まれる。イニャリトゥ監督の長編第一作で、勢いと才能を見せつけた作品。
2時間半、長かったけど面白くて画面に釘付けだった。今のところこの監督ハズレ無しだなあ。
「アモーレス・ペロス」は「犬のような愛」=「みじめったらしい愛」の意らしく(Wikipedia調べ)、その題の通り惨めで哀れな愛をめぐる3つの連作中編のような作品。1件の交通事故でその3つの物語が交わる構成と、暴力と情念の気配が色濃く漂う作風はなんとなくクエンティン・タランティーノを彷彿とさせる。
文字通りの犬もかなり重要な立ち位置でそれぞれの話に絡んでくるけど、犬が可哀想な目に遭うシーンが多くて、犬好きとしてはつらいものがあった。闘犬の場面とかどうやって撮ったんだろう……?
犬

犬の感想・評価

4.0
ブラッキー

ある1つの交通事故、そしてワンちゃんをめぐるストーリー

メキシコシティーを舞台に、狂おしい愛の悲劇を三部構成で描く衝撃作

監督・製作はこれがデビューとなるアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
ガエル・ガルシア・ベルナルのデビュー作でもあります

何という愛の物語でしょう

3つとも見応えあった
個人的には初老の男の話が1番好きかな

登場人物それぞれがどう絡み合うのか見ちゃいますね〜

みんなワンちゃんが好きなんです!

結構バイオレンスあり
そして残酷

リッチーはいるのかいないのか
あと、あのワンコ強すぎ
yc

ycの感想・評価

3.8
度々チルった音楽が流れる血なまぐさい映画だった。

疲労感がすごい……そりゃ三本立てで重めの人生垣間見たら疲れるわ。しかし見終わってから謎の爽快感がある。面白かった。
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