まいこ

ドクトル・マブゼのまいこのレビュー・感想・評価

ドクトル・マブゼ(1922年製作の映画)
3.9
映画史に刻まれた、暗黒映画巨編。
第一部「大賭博師」153分
第二部「犯罪地獄」111分
犯罪王・マブゼの物語。教養があり、金持ちのマブゼ博士は、様々に変装しながら、超能力や催眠術を使って犯罪を働き、社会を不安に陥れていく。マブゼ博士の悪魔のようなたくらみの行く末に待つものは…。第一次世界大戦敗戦後の社会的混乱と凄まじいインフレにあえぐ独の退廃した世相を描く。また、マブゼ=ヒトラー、マブゼの催眠術=敗戦後の自主性を失った不安定な精神状態を反映したもののされる(一部解釈)。

Filmarksでは187分と表記されていますが270分版を鑑賞しました。ストーリーというよりも、ドイツ表現主義に基づく構成、美術、演出、そして時代感覚を掴む古典的な役割がメインかもしれない。が、普通に楽しめた。ノーラン監督のオールタイム・ベストとしても挙げられており、悪人対探偵劇、犯罪映画の元祖といっても良い本作。正直第一部の中盤あたりのテンポが悪く、いつになったら話は動くんや…、と長く感じた。悪人がドヤって他より良い暮らしを送っているのが耐えられないのかもしれない。個人的に第一部(マブゼ)→第二部(ヴェンク)で感情移入するストーリー仕立てになっているようで、第二部が超面白い。トルド伯爵の狂った行動に、マブゼの失墜、ようやく尻尾を掴むヴェンク。幽霊たちが現れるシーンや顔がアップされるシーンたちが頭から離れない。終盤、化けの皮が剥がれるこの雰囲気、最高。美術の観点からいくとリアリズムを演出の基礎としているからか、表現主義にあるような奇抜な部分はあまり感じられず。マブゼや女性のメイクくらいか。装いがレトロで好みだったんだけど、動乱を象徴しているならばそう好感的に受け取るべきじゃないのかな…?あと、中間字幕のフォントに一目惚れした…。


Fritz Lang is another favorite of Nolan’s. The director says the German filmmaking icon is at “his most wicked and entertaining” in the 1933 crime movie “The Testament of Dr. Mabuse.” Nolan mentioned the film is “essential research for anyone attempting to write a supervillain.”
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