バテラ

バニシング・ポイントのバテラのネタバレレビュー・内容・結末

バニシング・ポイント(1971年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

アメリカンニューシネマを代表する1本だろう。ニューシネマは「自由意志」が重要なテーマになっていることが多いが、この作品はその描き方が素晴らしい。主人公のコワルスキーはひたすら車を爆走させていく。これといった他人にわかる様な理由は特にない。彼にしかわからない衝動に突き動かされている。この衝動こそ自由意志を求める根幹なんだろう。しかしこの作品はその「自由意志」を手放しに賞賛はしない。
ラスト、コワルスキーは道を塞いだブルドーザーに突っ込んで爆発炎上する。道が塞がれてるからといって、逃げるのは彼の自由意志に反する。だから彼は突っ込んでいったんだと思う。現実は肉体があるのだから精神には無限の自由があろうとそうはいかないのだ。そこをこの映画はシビアに描いてみせた。サルトルの「人間は自由の刑に処されている」という言葉を思いだす。自由とは自分で選びとれるが、必ずなにか代償を伴う。
しかし精神は自由なので、恐らくコワルスキーの精神はブルードーザーを突破し、駆け抜けていったのだろう。
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