ダメハム

大日本帝国のダメハムのレビュー・感想・評価

大日本帝国(1982年製作の映画)
3.4
1982年の舛田利雄監督作品。昭和天皇から首相の任命を受けた陸軍大臣東條英機と3人の兵士を視点に大東亜戦争終結までを描いた180分の超大作。

何といっても丹波哲郎演じる東條英機の存在感が全て。
政府関係を中心に描いていくのかと思ったら、ほとんどを3人それぞれのメロドラマに費やしていて少し食傷気味。それなら東條英機、1人に焦点を絞って描いてほしかった。この当時の映画としては、昭和天皇の顔を隠さず真正面からカメラで捉えていたのは結構珍しいかも。

アングロサクソンからの解放戦争なのに、シンガポール攻略戦で華僑の女性が日本軍に必死に抵抗する姿が、サイパンで米軍から攻撃を受ける日本人民間人の姿と重なる場面がきつかったね。「全ては天皇陛下のため」という言葉で、軍人の残虐な行為を正当化していたのが見るに堪えなかった。サイパンの浜辺に横たわる軍人と民間人のおびただしい数の死体の光景は、『激動の昭和史 沖縄決戦』を思い出さずにはいられない。

主要キャストの演技はまあいいとして、外国人俳優の演技があまりにも下手過ぎたのが残念。米兵のカップルが裸になって戯れるシーンは絶対要らない。あまりにも小田島がかわいそう。アメリカとイギリスと日本の戦車が、どう見ても同じ戦車なのも首を傾げてしまう。

最後に京子の名前ではなく、「天皇陛下万歳」と叫んだ江上の心境を思うと胸が苦しくなる。ラストの五木ひろしの歌でぐっと来ました。
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