黒田隆憲

哀しき獣の黒田隆憲のレビュー・感想・評価

哀しき獣(2010年製作の映画)
4.3
昨日の『チェイサー』に続いて、こちらもおよそ8年ぶり(信じられない)に鑑賞。ナ・ホンジン祭り。実は1回目は途中で寝てしまい(疲れてたのだと思う)、劇場で再チャレンジしてドハマリした映画。140分と長尺なのも含めて、カーチェイスありサスペンスあり、残虐な描写もエロもてんこ盛りで圧倒されたのだけど、今見ると結構ストーリーが入り組み過ぎというか。

延辺朝鮮族自治州の中国側に住むタクシー運転手グナム(ハ・ジョンウ)は、借金で食い詰めた挙句、韓国へ出稼ぎに行った奥さんからもぱったり連絡がなくなって自堕落な生活をしている。そこに、犬商人で地元のボス、ミョン・ジョンハク(キム・ユンソク)から殺人の依頼を持ちかけられ、奥さん探しも兼ねて韓国へ密入国するも、とんでもない目に遭うというストーリー。

『チェイサー』では不気味な連続殺人犯を演じたハ・ジョンウが、髪を短く刈り込みめちゃハードボイルドでカッコ良かったのも驚くが、同じく『チェイサー』でデリヘルの斡旋業者を演じたキム・ユンソクのモンスターっぷりに痺れまくった。ぶっとい牛骨で敵の頭をかち割るわ、自分を襲ってきたチンピラたちをあっという間に返り討ちにするわ、ナイフでブスブス刺されようが血塗れでオノを振り回すわ……。『ノー・カントリー』のアントン・シガー級にカッコ良かった。

ラストシーン、中国へと戻る船で起こる出来事の切なさと、エンドクレジットが出た後に映し出される映像のやり切れなさ。
黒田隆憲

黒田隆憲