イチロヲ

愛と誠のイチロヲのレビュー・感想・評価

愛と誠(2012年製作の映画)
4.0
見ず知らずの少年に救われた過去をもつ上流階級の少女・愛(武井咲)が、額に傷をもつ不良生徒・誠(妻夫木聡)に慈愛を捧げていく。梶原一騎原作・ながやす巧作画の同名劇画を映画化している、バイオレンス・ドラマ。筆者は原作を読了済み。

原作通りの時代背景を設定しておきながら、70年代の歌謡曲を使用したミュージカルにアレンジしている作品。過去シリーズの「続 愛と誠」をリライトしたような内容になっており、原作のツッコミどころを誠の口から喋らせるという妙技が加えられている。

絶対的な慈しみを湛えているヒロイン・愛の「聖人と狂人の表裏性」を逆手に取り、その狂いぶりを喜劇に転換させるという力技がスゴイ。原作の名脇役・ガムコ(安藤サクラ)と権太(伊原剛志)にスポットライトを当てているところも、さすがと言いたい。

愛と誠のふたりが、単なる恋愛コメディのカップルと化しているが、個人的にはこのような変化球もアリ。何よりも、ありとあらゆる小道具を最大限に配置している、猥雑な映像世界が筆者の好みにピッタリ。
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