やん

ケスのやんのレビュー・感想・評価

ケス(1969年製作の映画)
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ようやく、見れた。

貧しい家庭に生まれ、父のいない無情な兄を中心とした家で、新聞配達をしながら暮らす主人公の少年。
学校ではその貧弱な身体つきと性格から、教師からも舐められる毎日。唯一の友人は拾ってきたハヤブサのケス。

毎日を丁寧に描き、少年がケスに対してどのような思いを持っていたか。ペットとしてではなく、わたしたちは見させてもらってるんだと。静寂の中の飛行。飼い慣らすなんて無理。飼い主さえ気にかけない。『今だって姿を見させてもらってるんだ』
彼の痛みがすべて本物で、
子供を育てる環境全てがどれほど大切で
人生を曲げてしまうのか、痛いほど伝わる。
死を経験し、人は大人になるけど
こんな死はひどすぎる。
しかしこんな社会は今も続く。
復讐の名の下に関係のないものが死ぬ。

クマを飼っていた老人が
クマに食い殺された事件を思い出す。
自然は私たちの思い通りにはならない。
敬意を払い、共存する。
しかし、甘えてはならない。
明日は、私が食われるかも知れない。
やん

やん