ミシンそば

明日なき追撃のミシンそばのレビュー・感想・評価

明日なき追撃(1975年製作の映画)
3.4
ニューシネマの終焉は自分の中では「ロッキー」で、つまりは本作の翌年だが、本作はかなり露骨な反西部劇で、尚且つ自らメガホンをとり、途轍もなく惨めな破滅を辿るキャラを体当たりで演じたカーク・ダグラスにとっても相当な野心作だと思う。
息子がプロデューサーとして「カッコーの巣の上で」でオスカーを獲った年の映画ってのにも因果を感じるな。

政界進出の野心を持ち、強権的で自己顕示欲も強い連邦保安官が、悪名高い無法者を部下とともに(ほぼ全部部下にやらせる)追い詰め、彼の仲間を全員殺し、無法者も捕らえる。
ここまではほとんどトントン拍子だが、追撃や護送の過程でも保安官のパワハラ気質が発揮されて、部下の鬱憤が溜まる様がちょくちょく挟まる(先住民の部下はそこのところが露骨で、ただ単に保安官の事を嫌っている感じの他の部下と違って、憎悪もちょっと感じる)。
そこを理解せず(目を向けず)、上ばかり見ていたもんだから訪れたラストはある意味当然だが、その決定的なラストのレールに乗った時点で、運命の女神は無法者に股を開いた。

こう言う、前半とは完全に真逆のトントン拍子も、今じゃ一周回ってなかなか見ない展開で、西部劇と言うジャンルにかますヘッドショットとしては強烈だった。