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待っていた象
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『待っていた象』に投稿された感想・評価

MOCO
4.0
「ここはおとなの来るところではありまへんで」(円太郎)

 東野動物園で象の太郎と花子の飼育係を勤める山下金助(柳家金語楼 )と 横山円太郎 (横山エンタツ)は象使いの名人です。
 第二次世界対戦の戦時下で空襲が激しくなり、動物園の猛獣を殺さなければならなくなったため、金助と円太郎はわが子も同然の太郎と花子を空襲警報の騒ぎに紛れて連れ出します。
 園長富永(志村喬)の生ぬるい(優しい)捜索指示もあり二人と二頭はなんとか園を離れることができます。
 野宿しながら、泥棒にあいながら、なんとか金助の奥さんのおきみさんが疎開している(もしかしたら出産の為の里帰り?)山奥の実家にたどりつくのですが、太郎と花子が玄関を壊したために二人と二頭は義理父に追い出され、しかたなく裏山に隠れ住みます。

 大食の太郎と花子のために村の子供達は親に内緒で食べ物を運んでくれるのですがとても足りず、円太郎は所持金を太郎と花子の食べ物に使い果してしまいます。

 金助は預金の引出しをするために町の銀行に出かけて富永に見つかってしまい、あとをつけられて逃げる途中崖から落ち大怪我をしてしまいます。
 一刻も早く帰りたい金助は病院を抜け出そうとして狂人扱いされ、精神病院に入れられ、やがて終戦になります。

 円太郎は金助の実家を初めて訪ねたとき、金助の義理の妹テル子と会うのを楽しみにしていたのですが、テル子に興味なさそうに冷たくされてがっかりしていたのですが、ある日突然テル子が訪ねてきます。円太郎はテル子に子供達と同じ池で水遊びをする太郎と花子を見せながら「ここはおとなの来るところではありまへんで」と追い返そうとするのですがテル子は金助と円太郎が太郎・花子に対して持っている深い愛情に涙を流し「私もこれから皆さんのお仲間にさせてもらうわ」と話します。金助が帰らないで不安だった円太郎に心強い味方ができます。
 
 円太郎は金助に10日経っても帰ってこなければ象を撃ち殺すように言われていて、金助が銀行へ出掛けてちょうど10日目の日、病院を訪ねた富永は金助から象を隠しているところと10日めの約束を聞き出し急いで山へ向かいます。

 富永達園の者は終戦になり象を殺さなくても良くなった事を知らせに警官隊と山に訪れたのですが、富永達が山を上って来るのを見た円太郎はあわてて鉄砲の引金を引いてしまいます・・・。

 円太郎の鉄砲はテル子によっていつの間にか弾の抜かれた鉄砲とすりかえられていて、太郎と花子は命拾いして円太郎と動物園へ帰って行きます。

 退院した金助は入院中も太郎と花子の事を心配し過ぎたためか、奥さんのおきみさんでさえ分からないくらい禿げてしまい「太郎と花子にも分からってもらえなかったら・・・」と悲観して動物園へ行くことができませんでした。

 金助の代りの若い象使いは、ある日ショーの途中で太郎を怒らせてしまい、太郎は園内を走り回り、動物園は大騒ぎになってしまいます。
 逃げ遅れた一人の男が象に踏み潰されそうになるのですが、象の脚は男の前に止まり長い鼻を静かに男に巻き付けました。
 男は金助でした、金助が太郎と花子を心配していたように、太郎と花子も帰ってこない金助を心配しながらずっと待っていたのです。
 そして円太郎はその日、動物園を訪ねて来ていたテル子と再会を果たし、倖せそうに・・・。


 児童文学作家土家由岐雄氏が著した『かわいそうなぞう』という童話があります。第二次世界対戦下の上野動物園で、戦時猛獣処分を受けた像の実話を元にした童話です。
 空襲で動物園が被害を受けて逃げ出した猛獣が人々を襲うことを恐れて上野動物園は猛獣の殺処分を行います。ライオンやクマが殺され、象のジョン、トンキー、ワンリーには毒の入った食事が与えられます。3頭の象は一度は毒入りの食事を口にするのですが、吐き出して毒入りの食事を二度と口にすることはありませんでした。そのため食事を与えないで飢え死にさせることになります。
 お腹がすいたジョン、トンキー、ワンリーはショーのために仕込まれた芸を必死にして、ご褒美をもらおうとするのですが食事を与えてもらうことはありませんでした。
 やがてジョンが死に、ワンリーが死にトンキーも飢え死にしていく悲しい反戦童話です。

 映画の象は名古屋東山動物園のマカニーとエルドが演じたそうですが、戦時下の東山動物園では軍医(獣医)・警察官・園の者のそれぞれの判断で象が殺されることがなかった心暖まるエピソードが残っていて、この映画のモチーフにもなっているようです。

 私は昭和40年代をその東山動物園がある学区の小学校で過ごしました。
 昭和40年代の東山小学校にはサラリーマン化していない『教育者』と呼ぶにふさわしい先生方がまだ沢山おみえでした。
 その頃『家庭訪問』をされる先生は、申し送りがあるのか生徒一人一人の家庭環境から兄弟のことまでよくご存知で、母親の多くが担任されている子供以外のことまで相談をしていました。それが良いことなのか?正しいことなのか?は分からないのですが、暖かみのあるとてもいい時代を過ごさせて戴きました。

『かわいそうなぞう』のお話しや『東山動物園の象』のお話しは反戦を強く意識されていた先生が授業の時間を割いて話してくださったお話でした。

 映画は童話のような悲しさや空しさを伝える内容ではない、笑えない(つまらない)金語楼 と エンタツの漫才がちりばめられたコメディなのですが、どこかほのぼのとして懐かしくて、想い出を呼び起こしてくれました。

 ロケで登場する東山動物園は私の知っている東山動物園より少し旧い正門だったのですが、正門からすぐの小さな池と橋・噴水・園の外の景色は、とても懐かしいものでした。

 何よりマカニーとエルドが名古屋市内を歩いたり、川を渡ったり、二重撮影のようですが大きな池で子供達と水浴びをするロケ、子供達や金語楼さんを背中に乗せて歩くシーンは圧巻でした。

 端役でおとなのような子供の中村メイ子さんが出演されていました。柳家金語楼氏、 横山エンタツ氏はかろうじて「かする」世代なので、金語楼さんも懐かしく見させて戴きました。
空襲時に備えて、動物園の猛獣の殺処分を描いた作品は、山本嘉次郎が上野動物園の象を描いた「象」(57)があるが、本作は東山動物園の二頭の象を、延長と飼育係が匿ったという実話。園長の志村喬と飼育係が、餌を求めて深夜徘徊する。軍の警防団長の大友柳太朗も部下に命じて餌を確保するなどの協力で、生き延びるコメディ仕立ての感動作。