なやら

ウホッホ探険隊のなやらのレビュー・感想・評価

ウホッホ探険隊(1986年製作の映画)
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風呂場の磨りガラス越しにのっぺり顔の次男がヌーっと現れるファーストショットが怖い。
そのすぐ後に水の中から撮った洗顔シーンがあったりして、なんだかヘンテコな映画なのかと思って見始めたけど、案外普通のドラマ。80年代感が面白いんで飽きずに観れる感じ。女性が強い。
序盤のピクニックシーン以降、ずっと空がドンヨリ曇ってるのが印象的だった。淀みすぎ。かと思えば終盤、十朱幸代が吹っ切れた途端に晴天一辺倒になるという(笑)。十朱が役所を出た瞬間の青空がサイコー。ベタだが清々しくて良い。

あとそう、長男が父の愛人に会いに行って趣味を尋ね、「読書」と答えた愛人に、好きな本は何かと質問するシーンがありビックリした。自分もほとんど同じシチュエーションを経験したことがあるから。父・愛人・自分の三人で枚方パークへ行った帰り。父より9歳若い謎の女に同じ質問をした記憶がハッキリ残ってる。何を聞いていいか分からなかったから、読んでいる本で内面を見定めてやろうとしていたんだよな多分。今思うとタイヘン生意気な子ども。そして父の愛人の答えは「宮部みゆき」だった。さらに掘ると「火車」。その時宮部は「パーフェクトブルー」しか読んだことがなかったので、あらすじを聞いてみるとまーヘビーな話で……。しかも説明してるうちに熱が入ってきたみたいで、真顔でどんどんカード地獄のヤバさを語ってくるんですよ。後部座席の左隣で父の愛人が! すごくヘンテコな経験だったな。思い出したのが嬉しくて長々書いてしまった。ちなみに映画の方の愛人の好きな本は「ガラスの仮面」と「トーマの心臓」だった。そっちの方が趣味いいって感じ。
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