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モスラのmitakosamaのレビュー・感想・評価

モスラ(1961年製作の映画)
4.3
ゴジラと並び東宝を代表する名怪獣ですな。
ゴジラという圧倒的キャラクターを生み出した後にも、差別化したキャラクターを常に模索し続けた田中友幸らが如何に先鋭的だったかがわかるね。
巨大怪獣のカタルシスとは別路線のファンダジー路線。女性層を意識した結果モスラや小美人などが出来たけど、今作の真の正体は「過度な商業主義批判」よね。
ゴジラが核兵器の恐怖の象徴であるように、モスラは高度経済成長期に入る日本に対しある種の警告めいたメッセージがあると思う。
インファント島の調査団の中でネルソンは小美人を見つけ、持ち帰りショーとして儲ける。
インファント島の非文明的な原住民を見れば、それが植民地時代の略奪行為を指すのは一目瞭然。
戦時中に南海にいて現地のアニミズムに触れた原体験を多くの人が持つ時代。スタッフにも南国の自然に対する畏怖が作品に反映されているのは想像に難くない。
主人公のスッポンの善一郎がジャーナリストなのも興味深い。やはりブン屋は当時の花形職業だったんだねー。そして戦中の情報統制時代からの逸脱のシンボルでもあったよね。
コメディリリーフながらも物語を強く牽引する主人公を演じてるのがフランキー堺。これもピッタシだね。
アメリカとの共作の本作はまさに戦後の呪縛を抜ける日本の活力を感じさる。この時代の邦画に共通するエネルギーが例外なくあるね。
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