てつこてつ

炎上のてつこてつのレビュー・感想・評価

炎上(1958年製作の映画)
2.8
1958年製作の市村崑監督作品で、あの三島由紀夫の傑作「金閣寺」の映画化。

まずは、これだけ古い作品なのに、映像がDVDでも十分に美しくて驚いた。やはりフィルムで撮影された作品って綺麗なんだなあ。市川監督がこだわった全編モノクロ撮影なのも、あえて金閣寺をピカピカに見せてないのが渋い。

この作品を転機に、三島作品の映画化に拘ったという、主演の市川雷蔵は初めて映像で見たけど、当時は歌舞伎界の二枚目大スターだったというイメージと異なり、シュッとした塩顔。吃音の主人公の演技は、そこまで上手いとは思わなかったけど、佇まいに雰囲気はあった。そして、どこかしら、三島由紀夫本人にも似ている。

だけど、作品の全編通して、セリフが関西弁の「昔言葉」、もしくは、原作のセリフをそのまま引用してきたのか、かなりの重要なシーンで聞き取りづらかったのが残念。

また、この頃は、まだ、市川監督の代名詞とも言える、早いカット割り、インサート手法などが使われておらず、あまり監督の持ち味が出ているとは感じられなかった。
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