かの有名な三島由紀夫の「金閣寺」が原作。
概ね原作通りの内容だが、時間軸は行き来する作りになっている。
しかしその効果によって、溝口の葛藤や揺れる感情が伝わってきやすくなっている。
いつものクールで格好良い雷蔵を一切見せない吃りを持った主人公の芝居も素晴らしかったが、老師を演じる鴈治郎、柏木を演じる仲代達也が凄かった。
市川崑監督の拘りによって、モノクロ映画となったようだが、個人的には大正解と思われる。
活字だからこそ伝わってくる不気味さと頭の中で描く完璧な金閣寺。
そのふたつがモノクロだからこそ、安っぽくなく頭にしっかりと刻まれる作りだった。