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炎上のsaw13のレビュー・感想・評価

炎上(1958年製作の映画)
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原作「金閣寺」の肝はやはり主人公の偏執的な述懐にあると思うので、それが省略されて映像化されているとなると完全に別物。実際に、主人公が金閣を焼くに至った心理の遷移がひどく凡庸なものになってしまったように思う。老師が奥行きのある人格者として描かれていたり、副師が明確に嫌な奴という役回りになっていたりと、周辺人物がより掘り下げられていて、特に母親との軋轢が主人公に大きく影響を与えているように改変。結果、テーマそのもの、周囲の無理解の中の「青年の孤独」という陳腐なものになってしまった。それはもう「金閣寺」じゃない。
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