花とみつばち

炎上の花とみつばちのレビュー・感想・評価

炎上(1958年製作の映画)
4.5
三島由起夫「 金閣寺 」の映画化。
市川雷蔵主演だけれど、市川雷蔵のオーラを消し去った孤独な吃音青年を演じている。
とある寺に入った修行僧・溝口吾一。
吃音が酷く、凄い劣等感の闇で生きている。自暴自棄になる一方で、自身が孤独へと落ちてしまう。
潔癖故に、僧侶として堕落俗化した老師が許せず、そして母親の不貞をも心を悩ませる。
驟閣寺への美に対する執着。
劣等感に苛まれ火を放つ。
モノクロだけれど、焼けるシーンはオレンジ色の炎が見える様であった。
心救われる事の無い青年を見事に演じる市川雷蔵が素晴らしい。
唯一心を許そうとする、足を患う青年役の仲代達矢の屈折した演技も共に素晴らしい。
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