このレビューはネタバレを含みます
No.3328
『Coccoのための、世界唯一のMV』
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最近、メディアには顔を出さない方針を表明したCocco。
今後、ライブ以外で彼女の「顔」を見ることができなくなることを踏まえて本作を見ると、とても感慨深いのである。
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塚本晋也の描く、精神世界。
「あー、ここまで振り切るんだ」と、見てて空恐ろしくなったが、
同じく独特な精神世界を描いてきたギャスパー・ノエや、トリアーや、アロノフスキーらが、その映画の中で描写を手加減したことがあるだろうか。
(どうしても本作は、トリアーの代表作『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を彷彿とさせる)
「必要とあらば、描写を一切手加減しない」これが塚本晋也の塚本晋也たるゆえんである。
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琴子の病気は、恐らく統合失調症なのだろうが、
当事者やその家族にしてみたら「偏見を助長するな!!」と怒りそうである。
それでも、監督はこの世界を描きたかったし、この映画をCoccoと一緒に作りたかった。
だからその代償として、田中役を監督自ら演じて、琴子にボコボコにされているではないか。
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ラストシーン、成長した大二郎との面会のシーンは、なんともいえないやるせない気持ちになった。
窓から見送る琴子に向かって、いったん隠れてからまた顔を出して、おどけるように手を振る大二郎・・・落涙の極みであった。
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