水際

KOTOKOの水際のネタバレレビュー・内容・結末

KOTOKO(2011年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ドキュメンタリーを観ているかのようだった
ここまで振り切った表現をCoccoが演じ切れたのは彼女自身が役と一体になったからではないかと思う だからこそCoccoというアーティストを、人間を、もう少し知る必要がある気がした

塚本晋也の表現する精神世界は目を瞑りたくなるほど痛々しくて激しくてそこから映し出される人間の脆さ、強さ、美しさ、醜さ、切実さ

現実と虚構の二つの世界の区別がつかなくなっていく様子 虚構の他者はいつも自分を襲ってくる
歌を歌っている時だけは世界が一つになる
生きていても良いのか確認するために繰り返し手首を切り刻む 体は生きろと言う。
歌を歌っているコトコを見て恋をして彼女の持つ暴力性も何もかも全てを受け入れた田中との関わりを通して世界が一つになったコトコ。
田中を失うとまた二つの世界に苛まれる、
彼女の恐怖を映像を通して体験して怖くて苦しくて泣かずにはいられなかった。
彼女に必要だったのは、彼女自身を許す無償の愛?田中は小説家として生きることを選んだ、彼女を愛すためだけの存在として生きることを諦めた。無償の愛を注いでくれる対象、それは我が子だった。

塚本晋也は映像表現における精神世界の限界突破領域に達した人だ....
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