思いつめた表情で父親(西村晃)はつぶやく。
『殺そう・・・』
妻(乙和信子)は無表情でうなずく。
2階に上がった父親は、
自分の浴衣の帯を息子の首にかけ絞殺する。
階下で気配を感じている妻は失禁する・・・・
こんな衝撃的なプロローグで始まる本作は、この後、
妻のモノローグでの回想シーンとなる。
有名進学校に合格した息子。
とても真面目な生徒だった。
そして同級生に淡い恋心を抱くが、彼女は義父の慰めものになっており、それを知った息子はゆがんだ感情の赴くまま、自分の父親にも憎しみを感じ、家庭内暴力に走る・・・
父を憎み母と交わる、強烈なエディプスコンプレックスが描かれていて、正視できないシーンも多くある。
母親役の乙羽信子は、過剰とも思える愛情を息子に傾けるが故に、
とんでもない悲劇が起きる。
厳格な父親の言葉がなぜか空虚に感じられ、
次第にイラつく息子の心理もよく描けていたと思う。
息子のマザコンぶりも相当だ。
胸糞悪くなる(失礼)物語だが、
善人ずらした隣人の言動がそれを増幅させる。
よその家族の不幸に土足で踏み込んでくる奴らだ。
それも笑顔で。
そういえばこの時代、
家庭内暴力が社会問題になっていたなあ・・・
3年B組金八先生の第2シリーズ、
『腐ったミカンの方程式』もこの頃だった・・・