まや

ソナチネのまやのネタバレレビュー・内容・結末

ソナチネ(1993年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観たかった本作。映画館で観られて嬉しい。

美しい海の青と血の赤が対照的。社会規範から外れたヤクザたちの夏休み。純粋に楽しそうで、相撲とったり、落とし穴作ったり。美しい海の背景のもと、ノスタルジックな時間が流れる。武さんの楽しそうな笑顔ほんと好きだった。だけど楽しそうであればあるほどとてもそれが刹那的なものであり、ずっと寂しさと切なさと孤独感と儚さが映画内を漂っている。

ヤクザの暴力映画なのに、すごく美しいシーンが多くて久石譲の音楽と相まって夏の海の良さ、キラキラと光り輝く青色が強調される。そんな海とアロハシャツきた怖面の人々の笑顔のアンバラスさに画面に釘付けになる。

「あんまり死ぬの怖がりすぎるとな、死にたくなっちゃうんだ」すごく印象的なセリフで、ずっと死がまとまりついている武さんのキャラクター。夢の中で自分を何度も殺すことからも死が身近にある感じがした。(だからか、何だか浮遊感のある現実的ではない登場人物に主人公がなっていた。それもかっこよくてやっぱり武さん好きだな)

武さんの作品をいくつか観たが、いつも海がほんとに圧倒的に美しく、それが美しいほど何故だか寂しくなって泣きたくなる不思議な感覚にさせてくれる。

武さんの映画は武さんの映画でしか味わえない雰囲気のある作品でとても好き。
まや

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