キヲシ

あにいもうとのキヲシのレビュー・感想・評価

あにいもうと(1953年製作の映画)
3.8
駄目な男達が次々にぞろぞろ歩いて来やがる。元親方の父親はふらふらで罵声を浴び、酔って元部下に絡み、かみさんの店から金をくすねる。石工職人の兄がなんと森雅之。インテリ風な印象があるが、粗暴な男にしか見えない。妊娠した妹や相手の船越英二に投げる言葉の自分勝手なことよ。訪ねて来るだけがマシな気弱な船越をじわじわと追いかけて行くとこは怖いわ。製麺所の養子がまた情けない。駅の近くのトラックの影にその空疎な言葉は隠れる。やっぱりな。京マチ子の登場はハッとさせられるが視線はフラット。さすが成瀬監督。再登場で人足らの歓声を、平手も十数回は浴びる。修羅場は長い辛い。そして人生も長いが久我美子と京マチ子は顔を上げて歩いて行く。タイトルは「あねいもうと」でいい。
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