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アイズ ワイド シャットのmasayaのレビュー・感想・評価

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)
4.0
スタンリー・キューブリック監督、トム・クルーズ、ニコール・キッドマン主演の官能サスペンス。
スタンリー・キューブリック監督の遺作であり監督が最後に表現したのが"愛欲"であったことは感慨深い。
ただ主演のふたりは本作品の公開後に離婚しているが…

まずは"Eyes Wide Shut"という原題に触れておいた方が良いだろう。
直訳すると"眼を大きく閉じる"となり訳が分からない。
次の言葉は物理学者ベンジャミン・フランクリンの名言。

"Keep your eyes wide open before marriage, and half shut afterwards"

"結婚する前は大きく目を開き続けなさい。しかし、その後(結婚後)は、半分目を閉じなさい"

要は、結婚する前はよく相手のことを見て、結婚したあとは目を半分閉じるつもりで、文句を言ってはいけません、という夫婦円満の秘訣を語っている言葉だ。
原題はこの名言を言葉遊びで抜き取ったものと解釈できる。

医師のビル(トム・クルーズ)は妻のアリス(ニコール・キッドマン)に欲望を告白され大きく動揺し激しく嫉妬する。
夫婦に限らずカップルには様々な愛の形がある。
特に世界的な尺度で見ると一夫多妻や作中にもあった乱交、スワップやNTRなどがある。
様々な愛の形をカルト宗教のような独特の世界観や構図、ニコール・キッドマンの美しい裸体、効果的なピアノの音色で強烈に表現している。
ビルは現実的な危機をアリスは夢の世界の危機を乗り越え、そしてふたりは最終的な結論に辿り着く。
それこそがラストシーンの言葉だ。

そしてそれはスタンリー・キューブリックの最後の言葉でもある─
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