泣いたり踊ったり

アイズ ワイド シャットの泣いたり踊ったりのレビュー・感想・評価

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)
4.2
【ネタバレ】
ニコール・キッドマンえっっっっろ。こんなのに迫られたら女の私でもひとたまりない。ていうかキューブリックって女の色気とかに興味あった種類の人間なんだ。

ルッキズム批判なんてクソ喰らえだと天国から「fxxk」の4文字が聞こえてくるレベルで画面に映る女性、もれなく全員美しい。これだよ、普段の生活でアクセス出来ないレベルの美男美女が見れるから映画に大金払うんだ。美しいものは美しい、生物の根源的な欲求。多様性を振りかざしこれを是正していった遠い未来に幸せがある?それを信じたいのはむしろ醜形恐怖に片足突っ込んでる私の方。この方向は本当に正しい?

トムを直接的に誘惑し、性のタガを段階的に外してゆく二人の女性がニコール・キッドマンに寄せてあるのも笑えるポイント。HIV陽性の街娼、豪邸で息を引き取った患者の令嬢。二人ともキッドマンの下位互換だけど街娼はオシャレで馬鹿っぽくて性的にアトラクティブだ。マヌケで哀れなトム・クルーズは奥さんから電話かかってきて命拾いできてよかったね。

現実でもきっとこんな感じ、マッチョでストイックだけど芸術やアーティスティックなものに疎そうな堅物の旦那トム・クルーズ。セックスをするなら口の硬いプロの高級娼婦をマジで買っていそうな雰囲気がある。しかもあの作り笑いで接してきそうだし、無駄にチップも弾んでくれそう、正直不気味だ。

そんな旧時代的なピカピカのギザ男。奥さんの過去の浮気願望を聞いただけで動転し、破滅しかけるとか筋書きも完全にふざけ倒している。(しかも未遂…それどころか旦那への愛情を再認識したとまで言っている。)

キューブリックは英国式ジョークを映画に入れ込まないと死ぬ病気なんだろう。ここまで映画全体でコケにされたトム・クルーズ、正直可哀想まである。でもお洒落にまとまってるのはやっぱキューブリックの手腕だわ。

「オレは映画監督として世界的な名声を手に入れた。フリーメーソンや世界的セレブが集まる謎のパーティーにも沢山誘われた。チラッと覗いた事もあるが正直ただのヤリサーに成り下がってたし、ダサかったわー(鼻ほじ)俺があんな裏社会パーティをプロデュースするならせめて美術だけでもこんな感じにするわー」メッセージがあるとしたらこんなんだろうか。

キューブリックはこの映画の試写5日後に原因不明の心臓発作で亡くなっている
。まるでフリーメイソンに消された感を演出してる様でやっぱ死ぬ瞬間まで中二病の極右監督だ。末期ガンか何かが見つかり遺作になることが分かった上での自作自演に見えてしまう、だってなんか謎に満ちててセンセーショナルだし。こんな死の発表の仕方憧れる、私も可能なら真似したい。

「Keep your eyes wide open before marriage, and half shut afterwards.」