レモン牛乳

少女〜an adolescentのレモン牛乳のネタバレレビュー・内容・結末

少女〜an adolescent(2001年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

小沢まゆの演技が良かった。当時20歳前後(間違ってたらスマン)だったはずなのに、15の中学生にすごくハマっていた。20歳にもなれば、中学生の頃の、思春期真っ盛りで痛くて黒くてぐちゃぐちゃで愚直な気持ちなんて、あぁそんなこともあったなと記憶の隅に行ってしまうだろうに、彼女はそれをナチュラルに再現していて、いい意味で痛くて素晴らしかった。
夏木マリの母親も、子に対する毒々しさと愛と、陽子への嫉妬とが、コロコロと変わる表情や言葉のきつさに込められていて、毒親育ちの私には刺さった。

ストーリーは、エロと、人間関係のグロさを感じた。原作を読んでいないから分からないけれど想像するに陽子は、きっと親にも兄にも甘えられず、学校でも馴染めず、唯一見つけた甘え先がおじさんだったのかなと考えた。精神が成熟しきっていない中学生には、きっとおじさんは救世主に見えたと思うし、ほかの子供とは違う疎外感が優越感にもなったんじゃないかな。おじさんとの繋がりが、心を支えてた。そんな幼心を、恋心と真剣に受け止め責任を取りますと言えたのは、そういう時代だったことに加え、おじさんの心も育ちきっていなかったのかなと感じた。その歪さと、歪なもの同士が上手い具合にハマってしまったことが、この映画の気持ち悪さであり、1種魅力とも言えるんじゃないかなと思う。
個人的には、時代を感じる事が出来ることへの良さは感じたが、20の女性としては、健全に彼女を導いてあげられていたら良かったなと思った。
現代は、SNSの台頭で、おじさんと眉子の関係性は匿名のコミュニティとして拡大しているように思う。本作で気持ち悪さを感じた人は、SNSの家出少女とか、東横キッズに対して、「おじさん」の視点を持ったことは無いのだろうか。成熟していない子供に対して、純粋に愛してるから関係を持っても問題ないと主張することは、この「おじさん」と一緒だ。おじさんに気持ち悪いという印象を抱いても、自分はおじさんになると思っていない。純粋な気持ちのを前にした時、人は盲目になるのかもしれない。気持ち悪くて怖い、いい映画だった。