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パワー・オブ・ワンのねるねるのレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ワン(1992年製作の映画)
4.0
「人間は平等だという自明の真理」
1930~40年代の南アフリカ。人種差別を白人青年PKの成長を通して描いている。
白人が黒人を差別するだけでなく、アフリカーナ(主にオランダ系)はイギリス人を差別し、敵の敵であるドイツ人には味方し、当然ユダヤ人は差別する。アフリカ人部族間での対立もある。単純構造ではないと思い知らされる。

PKは両親を小さい頃に亡くしたが、大事なことは周りの大人達が教えてくれた。
ピアニストのドクは人に必要なものは「健康と教育」だと言う。1人の教育者が10人を教え、10人は100人に教える。「一滴の水も集まれば滝になる」とPKが感じたように、アパルトヘイトは教育による意識の変革で崩れたのだろう。

『ロッキー』の監督らしくエンタメ作に仕上がっているが、強いメッセージ性は損なわれていない。PKが驚くトイレ待ちの列は衝撃的なシーンだった。政府は黒人居住区に200人に一つしかトイレを設置しない。スラムをこれほどしっかり描写した映画は記憶にない。学校に通えるのはわずか2パーセントだ。

全編を彩るアフリカ民族調の合唱曲も耳に残る。エンドロールを見るまでハンス・ジマーだと気づかず。幼少期のPKがとろけそうにカワイイからここだけでも見て欲しい。
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