イチロヲ

火の鳥のイチロヲのレビュー・感想・評価

火の鳥(1978年製作の映画)
3.0
ヤマタイ国の侵略行為により父親を亡くした少年(尾美としのり)が、父の敵でもある軍将・猿田彦(若山富三郎)と共に不思議な友情を育ませていく。手塚治虫原作「火の鳥黎明編」を実写化している、ヒューマン・ドラマ。筆者は原作を読了済み。

少年を庇いヤマタイ国を追放された猿田彦のドラマを中心に据えて、老化に怯える卑弥呼(高峰三枝子)とその周辺の人間模様、少年の姉(大原麗子)を娶ったヤマタイ国の青年(林隆三)の葛藤劇、高天原族長(仲代達矢)の跳梁跋扈などを絡ませていく。

原作とほぼ同じ展開であり、人生の儚さと尊さが感じられる内容になっているが、原作のノリを実写でやられるときの気恥ずかしさと、そこから生じる綻びが随所に見受けられる。登場人物が常に独り言を喋るし、アニメ合成も浮いてしまっている。

やはり常人離れした演出力が備わっていないと、火の鳥の実写化は難しいことがよく分かる。なお、本作のイメージ・ソング(歌・松崎しげる)には、非公式のパチソンが存在しており、抱腹絶倒の歌唱となっている。このパチソンを生み出した功績は大きい。
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