筋が入り組んでいることがノワールの条件だと言わんばかりに、ややこしい脚本(運転手のくだりがややこしさに拍車をかけている気もする)の作品。
それにもかかわらず、最後まで一気に見させるホークスの演出手腕がすごい。無駄のない、1つの運動の中に様々な要素がさりげなく盛り込まれた映像(緊迫したシーンで地味に拳銃がキラりと光ってたり、そういう小技が効いてる)。
スピーディな語り口で、要所要所に見せ場が盛り込まれているから退屈を感じさせない。
会話劇としてのテンポの良さも素晴らしい。ボガート演じる、口の減らない、それでいて渋さのあるマーロウも良かった。
物語上で大した役を担わされていない脇役や小道具が妙に印象的だったり、オチがどうにもスッキリしなかったりとかなり変なバランスの映画でもあって、そこら辺もかなり魅力的。