強い信念には強い動機が必要。
そうして人生は変わっていく、、。
物語は80年代のニューヨーク
あまりにも汚く犯罪が蔓延っていた時代。
警察のトップに立つ父と、エリート警官の兄を持つ主人公ボビーは
その家系の人間とは思えないほど自由奔放ではみ出しものだった。
ボビーは、自分が経営を任されている店舗に“麻薬王”がいるから、少し協力してほしいと兄に言われた。
しかし、彼はそれを無視し気に留めていなかった。
そんな時“警察側につくか、それともあっち側につくか決めなければいけない時が来る
これは戦争だ。”と父に言われる。
そして、その言葉が現実となった時
彼の運命は大きく変わっていく。
→兄が狙われて殺されそうになった時。
仲があまり良くない親子、兄弟かと思いきや
そんなことはなかったみたい
ボビーはおそらく本当に幼稚で子供だったのだろう。
現実を突きつけられたとき、
兄を狙ったヤツを捕まえる
その強い気持ちが
彼をいままでの自分からまるっきし変え、
突き動かしていったのである。
その感情の変化ははっきりと描かれている。
この事件の前のボビーと
事件後のボビーは見た目も話し方も振る舞い全てがガキから大人へと変わっているのだ。
彼の家族への愛情と、大人へと変化していく成長はこの作品の鍵となっている。
家族や兄との絆というより、ボビーという一人の男の成長記録映画であろう。
ホアキンの演技は否応なく物語の世界へと引き込む力があるのだ。
もはや役ではなく、彼の演じる人物は彼自身なのである。
唯一無二の俳優だ。
麻薬組織から命を狙われる緊迫感、視界の悪い中で起こるカーチェイスと銃撃戦、ボビーの心情の変化、、見応えがたくさんあり
この作品の意図も明確。
とても素晴らしい作品だった。
ただ、、
もう一超え!という気持ちが残る。
この作品は、兄弟愛も中心的に描かれていると思うのだが、途中からホアキンに着目しすぎて、マークウォルバーグ(PTSDなどの背景や、彼の葛藤)を置いてけぼりにさせてしまっている感があった。
そのため、マークへの感情移入が難しいので、“兄弟愛”に関してはあまり気持ち的に入り込めなかった印象。
また、潜入捜査(アンダーカーヴァー)に関してはボビーがこの世界との境界線を踏み込む一つの章に過ぎず、これを題名にするほどのインパクトはないと思う。
あっさり感じてしまう最後は少し勿体無い。