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天井桟敷の人々のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

天井桟敷の人々(1945年製作の映画)
4.0
ナチスドイツ占領下(ビシー政権下)のフランスで2年程費やして完成させた、監督マルセル・カルネと脚本ジャック・プレベールのコンビによる「詩的リアリズム」の最高傑作。
原題:Les enfants du Paradis(天国の子どもたち=天井桟敷の役者たち) (1945)

作品は二部構成で、インターミッションが入る。

第一部[犯罪大通り]Le Boulevard du Crime
1840年代、劇場が立ち並ぶパリの《犯罪大通り》。
フュナンビュル座のパントマイム師バチスト(ジャン・ルイ・バロー)は、座長の娘ナタリー(マリア・カザレス)に愛されていたが、偶然助けた女芸人ガランス/ギャランス(アルレッティ)に恋心を抱く。
女たらしの俳優フレデリック( ピエール・ブラッスール)や、犯罪者ラスネール( マルセル・エラン)、富豪のモントレー伯爵(ルイ・サルー)も彼女に惹かれるが、ギャランスは誰のものにもならない。
そんな中、犯罪容疑をかけられたギャランスはやむを得ず○○の名前(力)を借りることに… 。

第二部[白い男]L'Homme Blanc
数年後…
バチストは、ナタリーと結婚し1児にも恵まれ、看板俳優となっている。
○○と一緒になったギャランスは、パリに戻りバチストの無言劇を毎夜お忍びで観劇していたが、フレデリックの移籍先の劇場でバチストに偶然再会する。
そして、カーニバルの日…。

「パリは狭いわ。特に愛する人には」

「人生は美しい。君も人生のように美しい」

「誰も愛さない究極の孤独
誰にも愛されない究極の自由」

「よかった。自由は大好きよ」

「愛してほしいの。恋は簡単よ」

「そんな 愛は小説か夢の中。現実の人生は…
夢も現実も同じさ。だからこその人生だろ。僕が愛してるのは人生じゃない。君だよ」

「あなたは美しすぎて、誰も本当には愛しきれません。美は例外なのです」

「僕があなたを愛する同じ愛し方で、あなたも僕を愛してほしい」

「天井桟敷を見て。私も昔 笑ったわ…でも今は…
悲しい?
悲しくも楽しくもない。まるで壊れたオルゴールよ。同じ曲のはずなのに音色が違うの」

「嫉妬心は僕の役にたつ…君らのおかげでついに僕はオセロをやれる」

「ママとパパと僕は3人で幸せなの…
○○の言いつけ?

○○が言うとおり…
何て?
きれいな人だって。僕が大きくなったらおばさんみたいな人と結婚する。○○みたいな人かも?」

「誰のものでもない女に嫉妬するのは自由さ」

「去るのは簡単よ。去れば思い出は美化される。戻れば思い出がよみがえる。だから、気楽と言ったの。でも残った私はこの人と暮らすのよ。あなたと違って、ささやかな毎日を共有する。6年よ。6年一緒に暮らしたの。
私もよ。
あなたも?
ええ 私も 。どこにいても、毎日…そして夜も毎晩…」

~この映画の魅力~
・男性の偶像ともいえる艶やかさと気品を備えたアルレッティ(当時40代で若くはなく美人とも思わないので個人的には感情移入しづらい面もあるが、この人の個性、存在感がこの作品の要)
・ジャン=ルイ・バローの天才的なパントマイム
・その外登場する役者の演技
・詩人プレヴェールによる洒落た台詞のオンパレード
・モーリス・ティリエとジョゼフ・コズマの音楽
・全長400mに及ぶ大通りのオープンセットと美術
・1500人のエキストラを動員した大通りのシーン(特にラスト・シーン)
・作品を通して語られる人生(愛と嫉妬、夢と現実)、自由の精神…
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